自然保護論的な立場で考えれば、たしかにハク製はとても「イケナイ行為」なのかもしれない。たとえ記録をねらう場合であっても、リリースは徹底するべきだという意見もしばしば聞かれる。
リリースすればいくら捕らえてもよいのかという議論はこの際さておき、同じゲームスポーツであるハンティングとの最大の違いもまた、おそらくこの「リリースできる」という点にあるのだ。自然に対するローインパクトを志向するスポーツアングラーにとって、良心の呵責なり罪悪感なりをわずかながらも打ち消してくれるものこそ「リリース」の考え方だろう。
とは言うものの、もしも自分がマーリンのグランダーや200Lbポンドのターポン、90Lbのドルフィン(シイラ)を釣る機会に恵まれたなら、はたしてどうだろう。やはり、なんらかの形でそれを永遠に残しておきたいと考えるのではないか。たとえ、それが世界記録として紙の上で永遠に残るとしてもだ。実際にその姿を見ることができ、実際に触れることができるもの。そんなものをアングラーは求めるものだ。
ハク製は底知れぬアングラーの欲をほぼ完全に満たすことができる唯一の永遠なる実体かもしれない。

見上げると、澄み切った青の中でグレートホワイト・
シャークがアンバージャックを追い回していた。
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