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カジキ類の分類学的研究( 8 )

京都大学みさき臨海研究所特別報告別冊
Misaki Marine Biological Institute Kyoto University Special Report
No.4, pp.1〜95 June 10, 1968

中村泉・岩井保・松原喜代松:カジキ類の分類学的研究
NAKAMURA, I., T. IWAI K. MATSUBARA: A Review of the Sailfish, Spearfish, Marlin and Swordfish of the World

 
チチュウカイフウライ Tetrapturus belone(RAFINESQUE)
 
本種はRAFINESQUE(1810)によってシシリーから Tetrapturus belone として初めて報告されて以来、比較的記録が少ないが(第5表:チチュウカイフウライの学名の変遷)、外形がニシマカジキやクチナガフウライときわめてよく似ているので、それらとかなり混同された(FOWLER、1936;ROSA、1950;ROBINS、1958;ROBINS and DE SYLVA、1960;TORTONESE、1962;PERONACI、1966など)。LA MONTE(1945)が Tetrapterus belone と報告したもののうちにハワイに分布するとされるものがあるが、それがどの種類に該当するものかはっきりわからない。NARDO(1834)によってアドリア海産種として Skeponopodus typus が、CANESTRINI(1872)によってイタリア産種として Scheponopodus prototypus がそれぞれ報告されたが、これらは本種の異名とされている。またGOODE(1880、1882)は Tetrapturus belone Tetrapturus imperator の異名としたが、最近ではほとんどの研究者が Tetrapturus belone を有効種としている(第5表)。
属名としては Tetrapturus の他に、 SkeponopodusScheponopodus Histiophorus Makaira Tetrapterurus TetrapterusTetraplurus を本種に適用する研究者もあるが、現在では Tetrapturus のほかは認められていない。LÜTKEN(1876b)は本種を、Histiophorus の亜属 Tetrapturus に属するものとして、Histiophorus(Tetrapturus) belone と記載した。
 

●種の記載
記載は成魚について行なった。この類は成長に伴う形態の変化がいちじるしいので、稚仔魚についての詳しいことはそれぞれの種の記載のところに主な文献をあげたので、それらを参照されたい。稚仔魚についての総括的な研究はJONES and KUMARAN(1962a)、UEYANAGI(1962b)、上柳(1963a)などによってなされた。

呼称
Aguglia imperiale(イタリア);pastardella(マルタ);Iglan(ユーゴースラビア);Mediterranian spearfish(ROBINS and DE SYLVA、1963)。

外部形質
第1背鰭39〜46鰭条(通常41〜46鰭条)。第2背鰭5〜7軟条(通常6軟条)。第1臀鰭11〜16鰭条(通常12〜15鰭条)。第2臀鰭6〜7軟条。胸鰭16〜20軟条(通常17〜18軟条)。
肛門は第1臀鰭起部よりはるか前方にあり、肛門と臀鰭起部との間隔は第1臀鰭の高さと等しいか、それを越える。第1背鰭に斑点はなく、全体の形はフウライカジキのそれに似るが、高さはクチナガフウライのそれより低い。第1背鰭の第25鰭条の高さは体長126.8cmのもので体長の13%、170cm以上のもので5〜6%である。胸鰭は小さく(体長の10〜13%)、上縁は湾曲し、下縁は真直ぐで、先端は尖る。第1背鰭起部から眼前部にかけての頭部外縁は真直ぐである。吻は短く、上顎長は体長の15〜20%である。第1臀鰭は低く、体長の7.2〜9.3%。側線湾曲部は胸鰭中央部と先端部の間で終る。
新鮮な標本での状態は観察していないが、固定標本では体側に帯状の模様はなく、第1背鰭鰭膜に斑点はない。体色は背側が青灰色、腹側は白濁色あるいは灰色である

内部形質
肉の色は側線の下の部分のほかは白っぽい。脊椎骨数は12+12=24。

最大体長
ROBINS and DE SYLVA(1963)の扱った最大の標本は体長186.8cmであった。

分布
本種の生活圏は地中海のみに限られていて、とくにメッシナ海峡付近に多く回遊してくる。マジョルカ島・リグリア海・アドリア海・イオニア海・マルタ島などでも本種が漁獲された記録があるが(第5表)、本種の東方への分布範囲ははっきりしない。黒海とエーゲ海では本種の漁獲記録はないようである。現在までに知られる限りでは地中海のほかに本種の生活圏を想定できない。ALBUQUERQUE(1956)、MAUL(1948)、NORONHA and SARMENTO(1948)などがマデイラから Tetrapturus belone の漁獲を報告したが、この記録には本種と断定しうる証拠がない。ROBINSが1961年8・9月に西アルボラ海(ジブラルタル海峡のすぐ東)とジブラルタルから南ポルトガルにいたる大西洋で調査した60個体のカジキ類のうちに本種は全く認められていない(ROBINS and DE SYLVA、1963)。
本種の稚仔魚はメッシナ海峡付近で採集された(SPARTA、1953、1961)。

付記
本種を地中海のフウライカジキMediterrenean spearfishとよぶと、フウライカジキShortbill spearfish T. angustirostris と混同されやすい。またクチナガフウライLongbill spearfish、T. pfluegeri と本種はきわめてよく類似するので、和名でも両者を明確に区別するのが望ましい。そこでここに本種の和名としてチチュウカイフウライを提唱する。
本種の卵および稚仔魚についてはSPARTA(1953、1961)やPADOA(1956)などの研究はあるが、稚仔魚についてはまだ明確にわかっていない。

 
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