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Billfish Body Watching
カジキのボディーウォッチング

スポーツ・アングラーのためのカジキ・ギネスブック&小事典

その巨大な魚体、力強いファイトとジャンプ………、カジキは、まさにビッグゲーム・フィッシャーマンの永遠の夢と言えるでしょう。ここでは、魅力溢れるカジキの秘密を探るために、さまざまなデータと共に、体の各部を検証してみました。大海原をダイナミックに遊泳するカジキは、まさに海の芸術品と呼べるほどに無駄の無い体構造をしていることがお分かり戴けるでしょう。

中村 泉(なかむらいずみ 京都大学農学部附属水産実験所)

 
 

<カジキの基準長(1〜4)と体各部の名称(a〜z)>

1.眼後部尾叉長(漁業生物学で用いられる)
2.体長(普通の魚類における体長や標準体長と違うので注意を要する―分類学的研究に用いる)
3.全長(一般的に用いられるが、カジキでは捕獲後船上で上顎が切断される場合が多いので、実用的ではない)
4.尾叉長(尾鰭のしっかりしている魚でよく用いられるが、3で述べた理由と同様、カジキでは実用的ではない)

 
a.上顎(吻、ビルとも呼ばれる) b.上顎の横断面図(マカジキ科では円形、メカジキ科では扁平) c.第1背鰭 d.第2背鰭 e.尾鰭 f.第1臀鰭 g.第2臀鰭 h.胸鰭 i.腹鰭 j.肛門の位置 k.側線 l.尾柄隆起(キール) m.尾柄刻(ノッチ) n.尾柄部 o.鰭収納溝(高速遊泳中は斜線部分に収納し流体抵抗を少なくする) p.下顎 q.頬鱗 r.尾叉 s.鰓条骨 t.後頭部 u.眼 v.鼻孔 w.鰓蓋部 x.頭部 y.躯間部 z.尾部
 

●体重

クロカジキ属のカジキが最も大型になる。なかでもクロカジキが最大で、延縄で約900kg、スポーツ・フィッシングでは817.7kg(ハワイで釣られたもので、Choy's monsterとして有名だが、最後まで一人でファイトしたものではないのでIGFAの公認記録としては認められていない)のものが知られている。クロカジキは硬骨魚類で、最大の体重を有するが、軟骨魚類のジンベイザメやウバザメには及ばない。
また、到達し得る最大体重が最小なものはクチナガフウライの約45kg(フウライカジキとチチュウカイフウライもほぼ同じ)である。しかし、これとても他の魚類と比べると著しく重いことから、カジキ類がいかに巨大かが分かる。

●体長

全長約5mになるクロカジキが稀に延縄で漁獲される。IGFA公認のクロカジキの最大体長記録は、全長447cm(Choy's monsterの体長はこれ以上と思われるが、計測データは残っていない)。
到達しうる最大体長が最小なものは、フウライカジキの全長約2mである。私たちが通常目にする魚がせいぜい数十センチであることを考えると、ここでもカジキ類の巨大さがご理解戴けると思う。

●背鰭

あらゆる魚類を通じて、正真正銘、最大の背鰭(第1背鰭)を持つのは、バショウカジキ属のカジキである。これは絶対的にも相対的(体長に対する相対的大きさ)にも断然一番である。これに反して、メカジキの背鰭は成長と共に小さくなり、カジキ類では最小の第1背鰭を持つ。

 
バショウカジキの背鰭

奇形のビル(吻)を持つカジキ
 

●上顎(吻)

メカジキの上顎は扁平で、著しく長く、魚類の上顎の中では最大の長さを誇る、マカジキ科のカジキの上顎は丸い断面を有し、極めて頑丈である。最も頑丈な上顎を持つのはクロカジキ属のカジキである。最も華奢な上顎は、バショウカジキ属のもので、最も短い上顎はフウライカジキのものである。
なお、カジキの総称として英語でビルフィッシュ(billfishes)と言うように、吻が長いことがカジキの第一の特徴である。ただ、時にはダツ類のことを、やはりbillfishと呼ぶこともあるので注意を要する。
ノコギリエイ、ノコギリザメ、ヘラチョウザメなどの長い上顎は、彼らのゆっくりとした遊泳や行動などを考慮に入れると、多分、主として海底を掘り起こして餌を探すために使われていると考えられる。一方、強い遊泳力を有するダツ類、サヨリ類、カジキなどは、その長い上(下、両)顎を武器として摂餌すると考えられる。

メカジキの著しく長くて扁平な上顎は、水平方向に振ることにより、イカ類や魚類に切りつけて捕食するように適応している。これに対して、マカジキ科のカジキの持つ、断面の丸くて長い上顎は、必ずしも水平方向には効率よく使えないが、全方向への振り出しに適している。彼らは高速遊泳を利用して、上顎で餌を打ちつけて殺したり傷つけて弱らせてから捕食するが、稀に突き刺すこともある。また、頑健で巨大なカジキの延長型の体にとって、先の尖った長くて頑丈な上顎は、高速遊泳による流体抵抗を少なくするように適応していると考えられる。
二叉したり、反り返ったり、欠損したりした、いわゆる奇形の上顎を持つカジキが時々報告される。これらのカジキが生き延びているということは、上顎を利用して捕食するより、むしろ高速遊泳を利用して餌に襲いかかることの方が重要な意味を持っているのかもしれない。
 
カジキ上顎略図:左からメカジキ、バショウカジキ、フウライカジキ、マカジキ、シロカジキ、クロカジキ。上は上顎を背面から見たもの。下は上顎の先端と眼の中間点あたりの断面図
 

●腹鰭

マカジキ科のカジキの腹鰭は、まるで先の尖った、ノリのよく効いた扁平な紐のような形をしている。バショウカジキ属魚類の腹鰭が最も長く、先端は第一臀(しり)鰭起部の近くにまで達する。クロカジキ属魚類の腹鰭は短く、その先端は腹鰭起部と第一臀鰭起部の間の半ばにも達しない。

 

●胸鰭

シロカジキの胸鰭は、体側に対してやや後下方に、ほぼ直角に張り出し、関節を壊さなければ体側に密着させることができない。このような構造の胸鰭を持つ魚類は、シロカジキ以外には知られていない。高速遊泳をするサメやメカジキの胸鰭関節は固定されていないが、シロカジキの胸鰭に似た形態をしている。このような胸鰭は、高速遊泳に際して効果的に働くと考えられる。

●尾鰭

大きくても頑丈なカジキの尾鰭は、硬骨魚類の中でも最も大きく見映えのするものである。マカジキ科魚類の尾鰭は鎌状を、メカジキのそれは半月状を呈している。マグロもカジキに匹敵する尾鰭を持ち、共に力強い高速遊泳を生み出している。

 

●鰭収納溝

高速遊泳魚には、遊泳時の抵抗を少なくするように鰭を収納するための凹部や溝が発達している。なかでもマカジキ科魚類には深くて長い、よく発達した溝がある。それらは硬骨魚類中でも、最もよく発達したものである。メカジキには、これらの収納溝は発達しない。メカジキには腹鰭がなく、背鰭も臀鰭も成長と共に相対的な大きさが著しく小さくなってしまうので、その必要はないものと思われる。

●尾柄隆起(キール)

高速で遊泳する魚類には、遊泳軌道を安定させるためのスタビライザーの役目をする尾柄隆起がさまざまな程度に発達している。なかでもカジキ類ではそれが最もよく発達している。マカジキ科魚類は左右両側に2対の、メカジキは1対のキールを持つ。

●尾柄刻(ノッチ)

高速で遊泳する魚類には、尾鰭の拡がりの調節を容易にするために、尾柄部の上下にノッチが発達しているものもある。硬骨魚類のなかでは、メカジキが最もよく発達したノッチを持っている。また、マカジキ科の魚類もこのノッチを持っている。同様の生活型と遊泳性を持つマグロ類にこのノッチが無いことは、カジキとマグロの系統が異なることの証拠の1つとも考えられる。

 


尾鰭付近の略図。

メカジキ(上)とバショウカジキ(下)の尾柄隆起。斜め上から見たところ

 

●眼

メカジキは、大きなソフトボール大の眼球を持ち、それはカジキ類の眼の中で最大であり、メカジキの名はそれに由来するらしい。マカジキの体長に対する眼径の大きさは約4%で、逆に最も小さいのはフウライカジキで、その値は約2.4%である。


後頭部の張り出しの程度(→)を示す略図/上:左からバショウカジキ、フウライカジキ、マカジキ。下:左からクロカジキ、シロカジキ、メカジキ
 

●頬鱗

一般の魚類では、脳や内耳などの重要な器官を保護するために、眼の後方部に特別な骨が発達する。マカジキ科魚類ではその部分に骨質化し肥厚した細長い鱗が重なり合って頬鱗を形成し、その役目を果たしている。このような鱗の固まりは、魚類を広く見渡してみても、他にマグロ類に見られるだけである。メカジキでは成長期に鱗が消失するので、このようなものは見られない。

●後頭部

カジキの後頭部は、どの種をとっても、多少なりとも張り出している。なかでも、最も著しく張り出しているものはシロカジキで、そのために<b>カタハリ</b>とも呼ばれている。

●側線

側線の形状は、ほとんどの魚類においては単線であるが、中には例外的な形状もある。カジキの中でも最も複雑な側線はニシクロカジキ(Atlantic blue-marlin)のもので、網目状(chiken wire lateral line systemとも呼ばれる)である。クロカジキの側線はループ状を呈している。その他のカジキの側線は単線(シロカジキの側線はやや不明瞭、他のカジキのものは明瞭)である。メカジキの側線は若魚期までは屈曲した単線として認められるが、その後は消失してしまう。

●耳石

一般に表層遊泳性魚類の耳石は小さい。なかでもカジキの耳石は、以前は存在しないと考えられていたほどで、その巨大な体と比較すると著しく小さい。体に対する耳石の相対的な大きさは、硬骨魚類の中では極だって小さい。これに対して底生性魚類の耳石は一般的に大きく、テンジクダイ類の中には、そのためにイシモチと呼ばれるものもいる。

 
カジキの側線の略図(部分図)。上からニシクロカジキ、クロカジキ、バショウカジキ
 
 
●背骨

カジキの尾部脊椎骨の略図/左からバショウカジキ、フウライカジキ、マカジキ、クロカジキ、シロカジキ、メカジキ
 
板状の背骨(正確に言えば脊椎骨の神経棘と血管棘)を持っているのは、魚類広しと言えども、カジキだけである。その形はさまざまで、マカジキ科魚類のそれは三角形、長方形、台形、正方形などを呈し、クロカジキ属魚類のものは最も平板である。メカジキのそれはやや扁平状である。前後に突出した骨質突起によって1本のバネのようになった背骨を持つマカジキ科魚類は、それを利用しての跳躍が得意だが、そのような構造の無い背骨を持つメカジキはほとんど跳躍しない。
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