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ビッグゲームを取り巻く環境と制度について( 6 )
 

2004日本国際カジキ釣りトーナメント

今回は制度論をしばし休題し、先月(2004年7月)に下田沖で開催された第26回日本国際カジキ釣りトーナメントを見学した際に感じたこと、思ったことを書いてみたいと思います。

参加の目的と経緯

私のこれまでの研究では、主に漁業の側から海やその資源を見て、接してきました。しかしそこでの私の関心は海の恵みのごく一部、食料生産という面に過ぎません。もちろん食料生産は人類にとって最も根源的であり重要な活動ですが、海はその他にも様々な恩恵を我々にもたらしてくれます。今回このトーナメントを見学させていただいた目的は、海と人との付き合いの他の形としてのマリン・レジャーを、現場でよく見てみたかったからです。
こうした機会を得ることになったのは、私の共同研究者でもある、遠洋水産研究所の余川浩太郎氏らが行っているカジキマグロ生態研究のアシスタントをさせていただけることになったからです。遠洋水産研究所のカジキマグロ研究グループはこのトーナメントを通じて、カジキへの衛星ポップアップタグの装着や水揚げ個体からの生態データ採集を行っています。私は同研究所の齋藤氏の補佐として、計測機材の準備、採取した標本(卵巣や胃内容物、DNAサンプルなど)の計測と保管などを行いました。久しぶりに嗅いだ大型魚類の内臓の香り、胃内容物のあの独特のにおい(そしてまたそれに素直に反応する自分の胃袋)に、大学で水産学科に所属していた頃を思い出しました。
カジキを解体する際、遠洋水研の齋藤氏は文字通り血と汗にまみれながら、正確・迅速に標本を採取します。自然科学系研究においてデータを取ることの大変さ、そしてそのデータから得られる結果の貴重さを改めて認識しました。私が専門とする海の社会・経済研究では、魚類生態学等の自然科学系データが1つの出発点となります。しかし、海の自然科学系のデータは陸上に比べて非常に少ないため、社会経済分析の内容もどうしても限られてきます。それはデータを得ることに必要な時間・資金・設備などが海の場合陸に比べて大変に大きいからなのです。

トーナメント

トーナメント自体の感想に移ります。わたしは結局一度も船には乗らず、終始陸に詰めていたのですが、とにかく一番に感じたのは、運営・参加されている皆さんが本当に海を好きであること、カジキ釣りを好きだということです。この点が何よりも印象に残りました。また私の個人的な理解ですが、一部の参加者はトーナメントという勝負に勝つことが目的というよりも、同好の士で集まって一緒に楽しもう、というほうに重点があるかのようにも見受けました。やっぱり海はいい。
次いで印象に残っているのは、運営・参加者の皆さんが遠洋水研の行う学術研究に非常に理解があるという点です。これは研究者にとって非常に有り難いことです。こうした雰囲気はもちろん、遠洋水研の研究者らが培ってきた信頼関係も大きいのですが、同時に、レジャーとしての釣りのあり方について、スポーツ・アングラーの方々も高い意識を持っておられることの現われなのではないかと察しました。
またこれも私の個人的な感想ですが、現場の漁業者らとの間になにか不自然な緊張感というか、遠慮のようなものがあるように感じました。もちろん私も現場調査で漁村を廻るときには、はじめはいわゆる余所者として認識され、非常に居心地がわるい状態から始めます。しかし今回は、そういった雰囲気とは明らかに種類が異なる空気があったように感じました。

海をたのしむということ、そして資源・漁港・海面をつかうということ

我々一般市民が海を楽しむことは、海の恵みの正当な受けとり方のひとつです。本トーナメントのように、個人所有のボート(あるいはチャーターした遊漁船)によってカジキを釣るという行為も同様です。遊漁は一般市民による正当な海の楽しみ方です。海は決して漁業者の所有物ではありません。
ただし本トーナメントを社会科学的見地からみた時には、漁業との関連でいくつか注目される点がありました。それは、カジキを殺す(資源を使う)こと、漁港を使うこと、そして海面において漁業操業の支障となることです。漁業との関連以外の点としては、下田の宣伝効果や地域社会への経済効果は相当のものがあると思われます。最終日夜の表彰式では、下田市長をはじめ地方自治体や実業界から多くの方々が参加されていました。また将来的には環境面への影響も考慮せざるを得なくなるでしょう。
本トーナメントは毎年の恒例行事であり、事前に地元漁協等との調整を済ませてあったため、もちろん漁業者との間に問題は生じませんでした。しかしこれは特殊事例であり、一般的な遊漁・プレジャーボートによる海の利用は地元漁業と多くの衝突をおこしています。その理由は、資源・漁港・海面をつかうということに関する、遊漁者(あるいはプレジャーボート)と漁業者間の適切なルール・制度がまだ出来ていないことが原因です。

まとめ

今回は第26回日本国際カジキ釣りトーナメントを見学した際に感じたこと、思ったことを述べました。次回はその続きとして、先ほど指摘した“海のレジャーが資源・漁港・海面を使う”という点のうち、漁港の使用に関して少し考えてみたいと思います。

 

 

筆者プロフィール
牧野 光琢(まきの みつたく)

1973年佐賀県唐津市生まれ。愛知県立旭丘高校卒業後、京都大学農学部水産学科入学。ケンブリッジ大学修士を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は環境政策論。主に海と人との関係について、制度学・経済学的手法と自然科学的知見の結合を目指す。尺八奏者としての号は「琢水」。
HP:http://risk.kan.ynu.ac.jp/makino

 

 
 
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