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ビッグゲームを取り巻く環境と制度について( 18 )
 

北方四島一次産業調査(2):水産業のようす

今回は、北方四島の水産業のようすをご紹介します。まず、北方四島における主たる産業は水産業です。これがほとんど唯一の産業で、そのほかの職業は軍人と公務員、町に数件の商店と、自給的農畜産業です。
春はスケソウやマダラ、カレイ類、ホッケなどを定置網や刺し網で採ります。秋はシロザケやカラフトマス、カニ類。ウニを取って加工し、ロシア本国や中国・日本に輸出しています。イクラも塩漬けにして日本に輸出しているそうです。今回の調査では、サケマス類資源は非常に豊富であるという印象をうけました。一方で、後に述べますが、カニやウニなどの資源は密漁で枯渇状態にあると言われています。一応行政当局から漁業の統計をもらったのですが、まったく信頼できない数字なので、資源量推定などの解析はできませんでした。
とりあえず、地元の漁師や加工工場の労働者、工場経営者などに聞き取り調査を行いました。その様子が下の写真です。


網の手入れをしていた漁師
 
船の手入れをしていた漁師
     

一日の労働が終わったばかりの季節労働者
 
水産加工会社の経営者
 
聞き取りのコツとしては、意外と日本の漁師への聞き取りと変わりませんでした。基本的にはタバコを一緒にすいながら「今年の漁はどうだ」とか「潮の流れがこうだ」とか「水温が高くて困る」とか「あっちの島はたくさん取れているらしい」といった話をしつつ、所々にわれわれの興味のある主題を挟んでいくという方法です。
 
ただ、閉口したのはとにかくウォッカを振舞われることです。なによりまずは乾杯から始まります。しかも自家製酒が出たりするとアルコール度数が極端に高いので、聞き取りの途中でだんだん自分が何をしゃべっているかよく分からなくなってきます。たとえば午前中に3軒調査に伺うと、昼には完全に出来上がってしまうという状態でした。女性はシャンパン(スパークリングワイン)を飲むのが一般的のようです。ちなみに「あて」にはイクラかチーズがよく出ました。イクラとウォッカは意外と相性が良いのです。  

すでに述べましたように、市場経済導入後の四島の主な産業は水産業とその加工業ですが、その経営は幾つかのグループ企業による独占(寡占)状態にありました。たとえば択捉島では、学校と病院以外はほとんどG社の所有だ、といわれるくらいにG社が島の経済を独占していました。またG社の水産加工工場ではサケマスの漁期に大勢の臨時雇用があります。ここで一日12時間、2ヶ月間無休で働くと、豊漁であれば大体20万円ほどになるそうです。これはロシア人にとっては非常な額で、遠方からも出稼ぎにやって来ます。しかし、下の写真は働いても給料をなかなか払ってもらえず、事務所の前で並んでいる労働者です。遠方から来ている人たちは給料をもらわないと家に帰るお金もないので、もう二日もこうして並んでいるといっていました。


その工場の裏にある資材置き場ではレーニンの胸像が海を見ていました。

 
 
北方四島の漁師は基本的に全て被雇用者です。つまり、大きな会社が漁船も網も加工工場も全ての資本を所有していて、漁業者は雇われて働きます。日本のように独立した経営体としての漁師はおらず、すべて水産会社の「漁業部門の従業員」といった位置づけです。下の写真は漁港の様子です。日本のように津々浦々まで漁港整備はされていません。また、その下の写真のように、非常に大きなサンマ漁船もありました。日本のものに非常によく似ています。
 
     

右の写真は、G社のマークこそついていますが明らかに日本の漁船で、○○丸という日本語の船名まで書いてありました。ロシア海域に侵犯して拿捕された場合、罰金を払えないと漁船が没収されます。この船の経緯はよくわかりませんが、まだ相当に新しい船でした。

ある港でちょうど私たちが調査をしていたとき、近くの軍港に国境警備隊に拿捕された台湾船籍の旅客船が入ってきました。事情に詳しい人の話では、あれぐらいの大きさだと大体100万ドルくらいの罰金をふっかけるだろうと言っていました。写真は撮らないほうが身の為だといわれたのですが、こっそり撮ってみました(下)。

 
次回は、この調査で観察された現象や、考えたことなどをご紹介したいと思います。
 

 

筆者プロフィール
牧野 光琢(まきの みつたく)

1973年佐賀県唐津市生まれ。愛知県立旭丘高校卒業後、京都大学農学部水産学科入学。ケンブリッジ大学修士を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は環境政策論。主に海と人との関係について、制度学・経済学的手法と自然科学的知見の結合を目指す。尺八奏者としての号は「琢水」。
HP:http://risk.kan.ynu.ac.jp/makino

 

 
 
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