北方四島一次産業調査(1):択捉島まで
家島事件をしばし休題し、今回から数回にわたり、私が9月に参加した北方四島一次産業調査の様子を、写真も交えながらご紹介したいと思います。
この調査は、北方四島の自然環境や野生生物を研究しているNPO北の海の動物センター(北海道大学の北方四島に関する研究グループが前身)の主催で、ビザなし交流の一環として行われている調査・研究活動です。これまで行われてきた自然環境調査の結果、この北方四島は流氷の南限でもあり、陸域や湿地帯、海域ともに非常に豊かで多様な生態系が確認されました。特に海洋性哺乳類(鯨・シャチ・イルカ・ラッコ・トド・アザラシなど)は顕著に高い密度で生息していることもわかってきました。
そこで今年度は、そのような自然とヒトとのかかわり、すなわち一次産業について調査を行うこととなり、北海道大学農学部畜産学科教授の高橋誠司博士を団長として、2004年9月14〜21日の8日間、北方四島のうち択捉島と色丹島で調査を行いました。北大農学部、北大水産学部、NPO、外務省、環境省、同行医師、通訳、そして私の総勢12名の調査団で、私は水産調査班の班長として主に水産業の現状把握を目的として参加しました。
オホーツク海の時化はなかなかのものでした。
筆者プロフィール 牧野 光琢(まきの みつたく)
1973年佐賀県唐津市生まれ。愛知県立旭丘高校卒業後、京都大学農学部水産学科入学。ケンブリッジ大学修士を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士号取得。専門は環境政策論。主に海と人との関係について、制度学・経済学的手法と自然科学的知見の結合を目指す。尺八奏者としての号は「琢水」。 HP:http://risk.kan.ynu.ac.jp/makino