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TOOLS FOR THE FINISH
最後をキメる道具たち〈ビッグゲーム編〉

By Cnpt. Rick Gaffney
訳/Tsuruzo Kondo

ゲームフィッシュを誘い出し、フックアップさせ、ファイトした後、アングラーにとって決断の時がやってくる。「ランディングするか、あるいはリリースするか」という決断である。ひとたび決断を下したなら、次はそれに適したツールを選ばなければならない。今回は、現在、市販されているそれらのツールを紹介し、どれを選ぶべきかを考察してみたい。

 


タグスティックは長さにも注意して選びたい。IGFAルールを適用するタグ&リリーストーナメントでは、8ftを超えるものはルール違反になる。また、タグを打つ際にダート部が深く刺さり過ぎてしまわないように、ストッパー付きのものが望ましい。もし付いていないものでも、ワインのコルク栓やハイパロンなどで自作することもできる。さらに、タグスティック自体をロッドブランクで自作することも可能だ。

 

タグスティック<Tag Sticks, Tag Poles>

今日のスポーツフィッシングシーンにおいて、ますます盛んになってきているタグ&リリースは、資源保護の観点からも非常に有意義なトレンドと言えるだろう。タギングをより簡単に安全に行ない、魚体に与えるダメージをより少なくするためにも、タグスティック(タグ棒)をはじめとする専用のツールは絶対に欠かせない。
オーストラリアでは、タギングしやすいという理由から、全長8ft以上ある長いタグポールを好むスキッパーが多いが、そのようなタグポールは、IGFAルールを順守する厳格なスポーツアングラーたちの眉をひそめさせ、実際に多くのタグ&リリース・トーナメントにおいても認められていない(IGFAルールでは、全長8ft以下)。ほとんどの場合、タグスティックが長いほど、魚に与えるダメージを軽減することができるのだが、IGFAルールを意識してか、8ft以上の製品を製作しているメーカーは皆無に近い。
現在、市販されているタグスティックのなかで最も優れている製品のひとつは、アウトリガークリップで有名なAFTCO社のものだ。同社のタグスティックは、アルミ製で、金色の耐腐食メッキが施されており、グリップには黒色のハイパロンが使用されている。デザイン的にも美しく、使いやすさ、丈夫さに優れているが、そればかりではない。タグダートの部分には、ストッパーが付いているのである。魚にタグを打ち込む時、必要以上深くまで突き刺さらないようになっているのだ。このような配慮は、非常に重要である。
現場での使い勝手ということになると、So-Lo Marine社の製品が秀でているようだ。「So-Lo Magic Stick」という商品名のタグスティックは、ポールが振り出し式になっていて、さらにタグダート部分の付け替えも簡単に行なえるようになっている。つまり、複数のダートに前もってタグを装着しておくことができ、ダート部分を替えるだけで、次々に素早くタギングするという芸当が可能なのである。特に、複数のアングラーが同時にフックアップした場合などには、最大の効果を発揮すると言える。
「So-Lo Magic Stick」と同様の機能は、Mako Engineering社の製品にも見られる。同社のタグスティックは、振り出し式の代わりに継ぎ足し式を採用しており、ポールを継ぎ足したり、外したりすることで長さが調節できる。また、タグダート部分もネジ込み式で簡単に着脱することができる。

 

これらの他にも、多くのタグスティックが市販されているが、それらは皆、長さの調節ができない固定式のタイプである。また、タグスティックに関しては、カスタムメイドのものを使用しているアングラーやボートオーナーもかなり多い。トローリング用のロッドブランクを素材に、愛用のロッドと同じラッピングを施し、ハイパロンやコルクのグリップを取りつけるのである。先述のAFTCO社の製品のように、カスタムのタグスティックにもストッパーを取りつけることをぜひお薦めする。ワインのコルク栓や、グリップに使用するハイパロンなどは、ストッパーの素材としても適している。ダートの先端から1インチほどの所に接着すれば、ダートを魚体に深く突き刺してしまうのを防げる。

ランディングツール<When Taking a Fish…>

魚を取り込むためには、そのためのツール(フライングギャフ、レギュラーギャフ、テイルロープ、ミートギャフ、ランディングネット、フィッシュテイラーなど)が必要になる。オフショア用のスポーツフィッシングボートには、これらのツールがひと通り揃っていることが望ましい。

ランディングネット<Landing Nets>

ランディングネットは、これらのツールのなかでも最もシンプルなものである。ランディングネットを選ぶにあたっては、まず、ハンドル部が水に浮かぶこと、収納しやすいこと、化学繊維のネットであること、狙う魚のサイズに合った網枠と網目であること、ハンドルが丈夫なこと……等々に注目することが大切だ。
 Sampo社の製品は、収納を容易にするために、ハンドル部が網枠内に折り返せるようになっている。また、So-Lo Marine社では、タグスティックの項で紹介した「Magic Stick」の振り出し式ポールにフィットするネットを製造している。

 
 

ランディングネットの使い方は、ネットで魚を追い回すのではなく、魚のほうをネットに近づけるのがポイントだ。まず、ネットを魚の前方に入れ、魚がネットのほうへ泳ぐようにロッドを操作する。そして、魚が網枠の中に収まったのを見計らって、下から上へとすくい上げればよい。このように、魚の前方にネットを構えていれば、たとえ魚がパニックに陥ったとしても、魚はネットの中へ自ら入るだけであり、むしろ仕事は容易になる。

テイルロープ&フィッシュテイラー
Tail Ropes, Fish Tailers

テイルロープとは、一方の端が輪になったロープのことで、特にシャークフィッシャーマンは必携のツールである。シャークは、ギャフを打つと暴れて危険なため、もっぱらテイルロープが使われている。シャークのザラついた皮膚によるロープの擦り切れを防ぐため、ループ部分に太いステンレススティールケーブルを用いるとよい。

  フィッシュテイラーは、まだ一部のアングラーにしか利用されていない新しいツールである。これはポールの先にスプリング状のスティールケーブルを装着したもので、ケーブルがループになっている。ループの中に魚の尾ビレを入れると、素早くループが閉じ、ケーブルが尾ビレをしっかりホールドする仕掛けである。
このフィッシュテイラーは、速やかに魚の動きを止める(魚の尾ビレを固定することで)には非常に有効であり、特にジャイアント・トレバリーのような魚をキャッチする際、その魚体を傷つけずにフックを外し、タグ&リリースすることができる。
 

レギュラーギャフ
Fixed-Head Gaffs

固定式のレギュラーギャフには、サイズ、長さ、形状、材質などの面で、様々なタイプのものが市販されている。IGFAルールでは、全長が8ft以下と決められているが、実際にも、ボートから海面までが遠い場合を除いて、8ftより長いものに特に利点はない。むしろ、たいていの場合なら、6ft位のほうが使いやすい。
ヘッドサイズは魚種に応じて選べばよいだろう。魚が大型であればあるほど、大きなヘッドを使う。大型魚用ギャフの場合、暴れる魚をしっかりと押えても曲がったりしないように、ヘッドの材質には気を配りたい。ムクのステンレススティール製がよいだろう。
数あるレギュラーギャフの中で、丈夫さ、実用性、デザインなどの面で他社より一歩抜きんでているのは、AFTCO社のテーパードシャフトギャフである。同社のアルミニウム製シャフトは、ギャフヘッドに近づくにつれて細くなるというテーパーがついており、水中で動かした時でも水の抵抗をさほど受けずにすむ。

中空のアルミパイプを使用したレギュラーギャフの中には、ポールをテコにして魚を引き上げたりした時に、強度不足が目立つものもある。So-Lo Marine社のステンレススティール製の製品は、この弱点を克服しており、より耐久性のあるものになっている。さらに同社では、先述の「Magic Stick」のポールに装着できるギャフヘッドも製造している。この場合、ギャフとしての機能には疑問は残るが、少なくとも1本のポールにあらゆる機能を持たせたという工夫は評価できる。Pompanette社では、最近、従来のモデルよりも頑丈なスウェージヘッド(鋳鉄で型をつけたギャフヘッド)のギャフを発表している。  
 

フライングギャフ
Flying gaffs

さて、ギャファーの武器庫に最後に残ったツールが、フライングギャフである。この特殊なデザインのギャフは、レギュラーギャフではコントロールできないような魚を確保するためのものである。魚体にギャフヘッドを打ち込むまではレギュラーギャフと同じだが、その後はギャフヘッドからポールを外してしまい、ヘッドに接続されたロープによって魚を確保する。特に大型のビルフィッシュやシャークのランディングには欠かせないツールと言えよう。
ギャフヘッドのサイズは確保する魚のサイズに応じて異なる。モンスターサイズのビルフィッシュを専門に狙うスキッパーの中には、12インチから、さらには14インチのギャップ(フックで言えば、ゲイプに当たる部分の距離)を持つギャフヘッドを備えている者もいる。もし、一度でも「グランダー」を見たことがあれば、なぜそれほど巨大なギャフが必要なのか、納得できるであろう。

  だが、彼らのようなプロフェッショナルはあまりにも特殊なので、一般のアングラーには参考にならない。アベレージサイズのビルフィッシュ(125〜300Lb)や、ごくたまに大物を相手にするくらいなら、6〜8インチのギャップを持つギャフヘッドで事足りるだろう。材質は、ムクのステンレススティール製が望ましい。
ビルフィッシュ専門のスキッパーたちは、少なくとも2組のサイズの異なるフライングギャフを装備しているものだ。ビルフィッシュ・トーナメントの常連艇ならば、IGFAルールに準じた(ロープの長さは30ft以下)、サイズの異なるフライングギャフを少なくとも3組は用意するべきである。経験豊富なプロのスキッパーたちは、短めのロープを使い、ボート近くで魚を確実にコントロールする方法をとっている。
また、シャークアングラーは、体側ではなく、口にギャフを掛けやすくするために、より小型のギャフヘッドを使用しており、ヘッドには丈夫なステンレススティールのケーブルを少なくとも3ft以上接続している。シャークはギャフを打たれた後に体を回転させるが、口にギャフを掛ければ、たとえ回転したとしても、ロープが魚体に巻きつきにくいのである。
フライングギャフは、AFTCO、Pompanette、Reliable、Mako、Acurate、So-Lo Marine、HOT-SHOTなどのメーカーによって製造されている。中でも、So-Lo Marine社のボブ・ホウイーによって製作されるモデルは、ギャフヘッドのリリース・システムが優れており、リリースの強さを調節できるばかりか、装着部にはテフロン加工が施されている。ステンレススティール製のポールもパワフルかつ実用的である。また、同社ではショートポールのフライングギャフも製造している。これは水面までが近い小型ボート向けのタイプである。
最も頑強なギャフヘッドを製造しているのは、ハワイ島コナにあるHOT-SHOT Welding社のローレン・チャップルである。同社のギャフヘッドの特徴は、通常の丸棒鋼ではなく、角型のステンレス鋼を使用している点である。それを5トンのプレス機を使ってギャフの形状にしているため、丸棒鋼よりも少なくとも5倍の強度がある。また、ギャフポイント(切っ先)が、魚を切り裂くことなく、魚の体により深く突き刺さるようにデザインされているのもユニークだ。

オーソドックスなギャフ(あるいはタグ)の打ち方は、次のようなものだ。リーダーを取って、魚が引き寄せられ始めたら、ギャファーはリーダーマンの背後に立ち、魚がさらに近づくのを待つ。そしてギャフヘッド(あるいはタグダート)が魚の肩(背ビレの付け根、前端部)を楽に超える位置になったら、ギャファーはコックピットの端に移動し、魚の肩の向かい側から素早くギャフヘッドを引き、ギャフフックをセットするのである。魚はギャフが体に触れると、たいてい激しく反応するので、一度ギャフを魚体に当てたら、素早く、確実にギャフフックをセットしなければならない。
また、尾ビレ付近には決してギャフを打ってはならない。魚の泳ぐ方向をコントロールするために、必ず肩の付近に打つべきだ。
ビルフィッシュの場合は、ギャフロープを使ってビルにハーフヒッチを数回行ない、それからクリートにしっかりとロープを結びつける。こうすれば、魚は舷側に確保され、暴れることができなくなる。また、最初のギャフが浅かったり、位置に不安が残る場合は、追加のギャフを打つという方法もある。
ミートフックは、基本的にハンドギャフの一種である。Pompanette、Acurate、So-Lo Marine、HOT-SHOTなど、各メーカーがミートフックを製造している。ロープ(IGFAルールでは30ft以下)を結びつけ、バランスに留意して、大型ビルフィッシュ、ツナ、シャークなどを確保したり、ボートに引き上げたりするのに用いる。

魚とのファイトが終盤にさしかかったならば、アングラーはその魚をリリースするのか、あるいは殺すのかを決断しなければならない。そして、クルーは彼の意志を尊重して、目的に相応しいツールを選び、そのための準備を整える必要がある。
いかなる釣魚談も、魚という敵対者をボート上に引き上げるか、あるいはタグを打つかするまで決して完結しない。したがって、それらの目的に叶うツールを選ぶことは、ロッドなどのタックルを選ぶのと同じくらい重要なことなのである。

 


ビルフィッシュやツナなどの大型回遊魚用のランディングツールには、レギュラーギャフとフライングギャフの2つが使われる。レギュラーギャフは中型サイズまでの魚に用い、大型にはフライングギャフを使うのが普通だ。ギャフヘッドのサイズを魚の大きさに合わせて変えるようにする。

 
 
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