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WHAT'S THE SPORT FISHING BOAT?

フィッシングボートの基礎知識(7)
タワー

文・図/中島新吾

 

スポーツフィッシングに供されるボートにとって、その戦闘的な姿態の、ある種シンボルともいえるものが、ツナ・タワーとかマーリン・タワーと呼ばれる、一連のタワー類である。30フィート程度の小型艇から、大は100フィート・オーバーのメガ・フィッシャーマン・クラスまで、さまざまなタワーが存在するが、その目的は、とにかくより早く、より確実に、狙ったゲームを発見することにある。今回は、そのタワーのことについて考える。

ツナとマーリン

遠くのものを、より早く発見するには、やっぱり高いところに登るに限る。これは誰もが考えつくことで、その昔から、フネのマストには見張り台がつきものであった。もちろん、その“発見したいもの”はさまざまで、陸地であったり、敵の戦闘艦であったりしたわけだが、生業としてのそれを含めたフィッシングの場合は、その対象である魚や、その魚がいるであろうことを示すなんらかの兆候を、いち早く、確実に見つけることが目的であるのはいうまでもない。
実は現代のタワー、日本では、なんとなく総称としてツナ・タワーと呼ばれることが多いが、さすがに米国あたりではこだわるタイプの人がいて、そういう人に言わせると、タワーにはツナ・タワーとマーリン・タワーがあって、その名称の違いは、それなりに理由があるというのである。
まず、ツナ・タワー。これは一般にヘルムステーション(操舵席)の屋根とタワー・コントロール(タワー上のコントロールステーション)の床が別になった、2段式のもの(Fig.1-A、Bのようなもの)をいう。これに対してマーリン・タワーはヘルムステーションの屋根がすなわちタワー・コントロールの床というスタイル(Fig.2-A、Bのようなもの)がそれにあたる。


Fig.1-A コンバーチブル+フル・タワー
非常に一般的なフネとタワーの組み合わせで、ほとんどの有名コンバーチブル・ビルダーが出荷時のオプションとして用意しているスタイルである。フライブリッジの屋根はFRPのハードトップか、パイプで組んだ骨組みにキャンバス張りというものが大多数。前方の支柱の傾斜は、多くの場合デッキハウスの傾斜に合わされるため、タワーの高さはそれである程度決まってしまう。

 

Fig.1-B オープンSF+フル・タワー
オープンSF(スポーツフィッシャーマン)の場合、タワー無しだと妙に気の抜けたスタイルとなる。図は44フッタークラスのオープンSFとしては大きめのフネがモデルだが、32フッタークラスのものでも、フル・タワーを備えるものが少なくない。オープンSFでは、たとえ図のようなタワーを備えたとしても、Fig.2-Aのコンバーチブル+ロープロファイル・タワーと同じくらいである。

     

Fig.2-Aコンバーチブル+ロープロファイル・タワー
こういったコンバーチブルにロープロファイルのタワーを取り付けるというのは、意外に少ない。理由のひとつは、フライブリッジのハードトップがタワー・コントロールの床板としては広すぎることで、それを避けるためのコントロールをハードトップ上の後端に設けたとすると、こんどはタワー前部の支柱がフォアデッキから直線的にもってこれなくなる。少々設計がメンドウになるのだ。

 

Fig.2-B オープンSF+ロープロファイル・タワー
ハードトップの広さの問題はFig.2-Aと同じだが、タワー・コントロールをその後端にもってきたとしても、デッキハウスが無いため、タワー前部の支柱の傾斜をいくらか急にすることでそれをカバーできる。タワー形状に対する自由度は、コンバーチブルに比べてずっと高い。最近、30フィート前後のクラスに、こういったスタイルのタワーを最初から装備したオープンSFが増えてきた。

 
で、その呼び分けの理由は『ツナは中層を回遊する。よって、より高いところから水面を見下ろしたほうが、反射も少なく、魚群の影を見つけやすい。これに対してマーリンは水面にヒレを出して泳ぐことも多い。だから、ツナに比べれば低いタワーでも充分に役に立つ』というものである。
たしかに、ツナ、マーリン、といったタワーの呼び分けがあるのは事実だし、魚の習性というのも、概ねそんなところだろう。しかし、マーリンだって、より高いところから探したほうが、より遠くのものを発見しやすいのは確かだから、ツナ・タワーはともかくとして、マーリン・タワーの理屈は少々苦しい。一説には、高いタワーだと安定がそこなわれるようなフネを持ったオーナーが、悔しまぎれに「これはマーリン用だ」と称して低いタワーを作ったのが、マーリン・タワーの原型だとかいう話もある。ま、名称の話は、逸話だと考えたほうが無難だろう。現在は2層式をフル・タワー、1層式をロープロファイル・タワーと呼ぶ方法もあり、どちらかといえば、その方が分かりやすい。

理にかなった現代のタワー

初期のタワー(まだタワーなどという名称のない頃)は、本当にマストのテッペンにバスケットを取り付けたスタイルだった。それが現代的なタワーになったのは、まず、フネそのものの変化がある。
速度がどんどん速くなり、それに伴ってフネに加わる衝撃も増した。そのため、それまでのマスト+バスケットでは、強度的につらくなってきたのである。また、フネのスタイルも現代のコンバーチブルのようなカタチが主流になると、どうもマストが立てにくい。そこで、デッキハウスを跨ぐように支柱を立て、その上に見張り所を設ける、今のスタイルとなったわけだ。

 
メカジキを狙うために考案されたベイティング・タワー(Baiting tower)。ツナ・タワーの発想の源ともいえる。
 
現代的なスタイルのタワーというのは、それなりに理にかなったものだ。まず、デッキハウスを跨ぐカタチであるため、タワーの真下、デッキハウスの屋根にあるフライブリッジの機能を損なわない。しかも、そのフライブリッジの屋根(ハードトップやキャンバストップ)を支える支柱を兼ねることができる。また、基本的にパイプの組み合わせだから、高速になると馬鹿にならない空気抵抗も比較的少ない(あくまでも“比較的”という範囲ではあるが)。さらに、タワーの重量はそれぞれの支柱に分散されるから、フネの一ケ所にだけ極端な荷重がかけられることを防げるし、衝撃も分散できる。そのため、タワー取り付け部の補強も、一ケ所に太いマストを立てるのに比べると少なくて済むわけだ。こういった利点をさらに生かしてくれるのが、多くのタワーに用いられているアルミニウムという素材である。
比重2.7程度と軽量である他(ちなみに、鉄は比重7.9前後)、柔らかいため、大きな衝撃が加わったときには、タワー側が変形してフネへの取り付け部のダメージを最小限に食い止めることができるのである。だから、最初からタワー取り付けを前提として、建造時点から上手に補強されているフネはともかく(最近は多くのスポーツフィッシャーマンがそうだが)、そうでない場合、あまり剛性の高いタワーは付けるべきではないだろう。ステンレスで作ったガチガチのタワーなどは、特に要注意である。
最近はオープンスタイルのフネに、最初からビルダーオリジナルのタワーを装着して販売されるものもでてきた。一時期はタワーの“高さ”競争だったようだが、今はよりスタイリッシュなのが流行りである。
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フィッシングボートの基礎知識(1)
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