4 リーダーには硬いバットセクションと柔らかいフォワードセクションが必要!
フォワードキャストで最後にロッドをストップさせると、フライラインはターゲットに向かってループを伸ばしていく。ラインがすべて伸びた後は、それに続いて今度はリーダーがターンオーバーするわけだ(しなくてはならない)。
ループがフライラインの先端に向かって伸びていき、やがてリーダーに到達した時、もしもそれが非常に硬かったらどうなるだろうか。硬いモノフィラはループを描いて伸びずに、まっすぐの状態のままでうまくターンオーバーしないはずだ。むしろ、バットセクションは柔らかいほうがずっとまともに役割を果たすのだ。バットリーダーの素材にブレイデッドラインを使うと、このことがよく分かる。
通常のモノフィラ・リーダーではうまくターンオーバーさせることができず、キャストが下手だと思われていたフレッシュウォーター・アングラーがバットセクションをブレイデッドラインに替えただけで見違えるようなキャストをするようになったという話を聞いたことがある。これはすべてブレイデッドラインの柔らかさの仕業なのだ。もちろん、極端に柔らかいモノフィラは、硬すぎるモノフィラと同様にリーダーのバットセクションとしては不向きである。ソルトウォーター用フライリーダーのバットとして理想的なモノフィラメントは、硬くも柔らかくもないスピニング用のラインだろう。
5 ロングディスタンスでは魚をキャッチすることは難しい!
私が思うに、これはロングキャストができないアングラーが考えた神話ではないだろうか。私がフルライン(時にはバッキングまで)をキャストしてキャッチした魚は数えきれない。フックがシャープで、リトリーブ中ラインに弛みがなければ、ロングディスタンスでのセットフックには何の問題もない。
つい先日も、ベネズエラのロス・ロケスでこんなことがあった。最終日の釣りを終えてボートのところまで歩いていたときのことだ。ガイドと私は遠くのサンドフラットでクルーズする1尾のボーンフィッシュを見つけたのだ。私はリールからすべてのフライラインと12ftのバッキングを引き出し、そのボーンに向けてキャストした。まさにラストチャンスだった。フライに向かって泳ぐボーンの影を確認し、ロッドを上空へ振り上げた瞬間、フックは見事にその魚の口にめり込んだ。私たちはランディングに成功した。82ftのフライラインと12ftのバッキング、そして14ftのリーダー。キャストした距離は計108ftであった。ボーンフィッシングでそんなロングキャストをしたのは、この時が初めてだった。フックをシャープに研いでおいたおかげでフッキングには何の支障もなかった。
ロングキャストできるということは、難しい状況の下でも何とか切り抜けられるということであり、また他人が狙えない所を狙うことができるということなのだ。
6 釣りはいつでも朝と夕方がベスト
これもまた真実とは程遠い。たしかに、光量が少ない朝や夕方がよりベターであることは多いが、光量以外のファクターが状況をすっかり変えてしまうこともありうる。同じく光量低い曇天や雨天時では、まったくの日中であっても最高の釣りができることもある。魚にはマブタがないので、空が明るいと、ディープに隠れてしまう。彼らは光量が落ちるのを待っているのだ。
7 ポッパーのリトリーブは、各ストリッピング間に静止させるのが鉄則!
ことソルトウォーターに関するかぎり、ポッパーは常に動かしている必要がある。表層に追いつめられたベイトフィッシュは身の危険を察知してパニック状態になる。ポッパーの絶え間ないアクションは、一刻も早く安全な場所へと逃げ惑うベイトフィッシュの動きそのものなのだ。実際、ポッパーを表層で静止させたままにしておくと、下から魚が現れても、たいていは一瞥しただけで泳ぎ去ってしまうものだ。
8 ウィンディーな日はラインの番手を上げてキャストしろ!
これはその時の状況によって、真実とも嘘とも言うことができる。
もしも20ft以下のショートディスタンスを釣っていて、しかも風があるような場合においては、ワンサイズ上のラインは有効である。そうすることによってフライを容易に運ぶことができる。
だが、キャスティングの巧いアングラーが50ft以上の距離をキャストするような場合、まったく逆のことをする必要がある。つまり、ワンサイズ下のラインに切り替えるのである。
たとえば、8番ラインにマッチするロッドであれば、あえて7番ラインを使うのだ。そして、少なくとも40ftはラインを引き出してフォルスキャストする。これだけの長さであれば、8番用のロッドであってもタイトなループでロングキャストすることが可能だ。反対にノーマルよりも重いラインを使うと、フォルスキャスト時にロッドが曲がり過ぎてしまう。その結果、ラインはワイドループを描き、風の中では遠くへ飛ばすことができないのだ。 |