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HOME CHASE フライでカジキを釣る レフティー・クレーのフライ・テクニック(1) フライフィッシングの8つの神話

Flyfishing with Lefty Kreh Techniques & Tips
レフティー・クレーのフライ・テクニック(1)

文/レフティー・クレー
訳・構成/編集部

ウェブ・マガジン『スポーツアングラーズ』が、ソルトウォーター・フライ・マニアに贈る、あのレフティー・クレーによる必読のテクニック・コラム。経験に裏打ちされたテクニックの数々は、きっと全ソルトウォーター・フライロッダーのバイブルとなるはずだ。ここでは、世間にまかり通っている間違いのあれやこれやをレフティーが撫で斬りにした「フライフィッシング8つの神話」を紹介する。

 

 
 

フライフィッシングの8つの神話

フライフィッシングの歴史は古い。スポーツフィッシングの中で最も伝統のあるフライフィッシングだが、「伝統」は、時に好ましからぬ要素にもなりえるものだ。伝統を重んじるばかりに、人々は盲目的に過去の習慣を引きずり、考えることを止めてしまう。フライフィッシングの場合も然り。現在、実しやかに語られている理論やテクニックの中には、そのように神話化したものが少なくない。多くの場合、こうした神話があるばかりに、よりベターな方法が普及せず、フライフィッシング本来の楽しさが理解されないのである。これから紹介する8つの例は、いかに伝統を重んじるフライアングラーであっても決して実行してほしくない理論やテクニックである。

1 リールはキャストする手とは反対の手で巻くべきだ!

つまり、もしもあなたが右利きなら、リールは左手で巻けということである。この神話の根拠は、キャスティングする方の手でロッドを握っていれば、リールを巻くためにわざわざロッドを持ち替える必要がないという点にある。さらには、ロッドを握る手の方が強いので?ファイトの際にもよりベターなポンピングができるというのだ。

たしかに、この神話がもともと作られたようなシチュエーションでは(たとえば淡水のトラウトを釣る場合)、それでもよい。トラウトは走る距離も知れているので、回収しなければならないラインの量も少なくて済む。どちらの手でリールを巻こうが、たいした差はないのだ。
だが、ものすごい勢いでラインを引き出してしまうソルトウォーターの魚が相手では、状況はまるで異なる。ボーンフィッシュやターポン、大型のオフショアのゲームフィッシュたちは、アッという間に100ヤード以上のラインを持っていってしまう。しかも、バトルの間、その強烈なランが何度も繰り返されるのである。その長いバトルの間にアングラーは幾度となくロッドを持ち替える。実際のところ、利き腕ではない腕にも、そうした魚を相手にロッドをポンピングできるだけの強さは充分に備わっているものだ。問題なのは、ポンピングできるかどうかではなく、いかに素早くリールにラインを巻き戻せるかなのだ。
右利きのアングラーの中には、左手でスピニングリールを巻いても何の不便も感じないという人も多いが、フライリールではそうはいかない。たしかに、長いアームの付いたスピニングリールの場合、手を回転させる円の半径は大きく、巻き取りも容易だ。しかし、それに比べてフライリールの回転半径は小さく、利き腕でなければ巻き取りには常に困難が伴う。特に、数百ヤードのラインが出ている場合など、はたしてあなたは左手で素早くラインを巻き取ることができるだろうか。
 
「ボーンフィッシュのランは見事だ。この魚をキャッチしたフリップ・パロットも相当のラインを巻き取らねばならなかった。利き腕による素早い回収が功を奏したのだ」。

「9ftを超えるようなロッドでセイルフィッシュと渡り合うのは不利だ。といって、8ft以下のロッドではキャスティングが難しい」。写真のアングラーはコスタリカのビッグフィッシュと闘うために9ftのロッドを選んだ。
 

2 ショートロッドこそ、よりスポーツ性に富む!

これはまったくの神話だ。オフショアの巨大なゲームフィッシュ(ビルフィッシュ等)をスポーティングタックル(トローリングで一般に使用されるコンベンショナル・タックル)で狙う際には、たしかにアングラーはショートロッドを使わざるをえない。事実、そういったロッドの長さが7ftを超えることはまずない。ライトタックルによるビッグゲームフィッシングの最近のトレンドは、6ft以下のスタンダップ用ロッドである。そういったタックルを利用して、200Lbを超える巨大なマグロに挑むのである。
経験を積んだフライフィッシャーマンであれば、ロッドを短くすればするほど魚に対してより大きなプレッシャーを与えることができることを知っているはずだ。たとえば、1mの長さの棒の端を持ち、もう一方の端を誰かにつかんでもらう。相手はいとも簡単に棒を下に押し下げることができる。次に、棒の長さを1mから30cmにして同じ実験をしてみてほしい。棒の長さが短くなったので、棒を押し下げるために相手は前以上の力を加えねばならず、反対にあなたは1mの時よりもずっと楽に棒を支えることができる。このテコの原理こそショートロッドの概念なのだが、フライロッドに関しては、あまりにも短いロッドはキャストしずらい。ソルトウォーター用フライロッドとしては、8&1/2〜9ftが理想だろう。

3 可能な限り細いティペットを使え!

ゲームフィッシュを極細のリーダーでキャッチできる人こそ、より腕の立つスポーツマンライクなアングラーだと広く信じられている。しかし、もし魚を食べるのでなければ、可能な限り素早くランディングして、可能な限りベストなコンディションでリリースすることこそスポーツマンらしい行為だと私は信じて疑わない。
触れば切れる程のリーダーティペットを使い、小さな魚と「格闘」しているアングラーを幾度となく見てきたが、なんとかランディングしてリリースする頃には、魚はすっかり疲れはてており、時には死んでしまうことさえある。海水の魚はすべて、長時間のファイトをすると、筋肉内に乳酸がたまる。蓄積された乳酸のために死に至ることもあるのだ。いくら何でも、殺してしまってはスポーツとは呼べまい。
太いリーダーを嫌う海水魚は珍しいが、だからといって、小さなフライにあまりにも太いティペットを使えば当然アクションが悪くなる(フライをループノットで結べばかなり違うが)。いずれにせよ、アングラーと魚がスポーツ性を失わずにともに妥協しあえる範囲内において、可能な限り太いティペットを使ってこそスポーツマンと呼べるのではないだろうか。

 
「クリアウォーターでバラマンディを欺くのは難しい。魚を欺くこと、そしてファイト中のスリルを味わうこと。君はこの2つを充たす範囲内で一番太いティペットを使うべきなのだ」。
 

4 リーダーには硬いバットセクションと柔らかいフォワードセクションが必要!

フォワードキャストで最後にロッドをストップさせると、フライラインはターゲットに向かってループを伸ばしていく。ラインがすべて伸びた後は、それに続いて今度はリーダーがターンオーバーするわけだ(しなくてはならない)。
ループがフライラインの先端に向かって伸びていき、やがてリーダーに到達した時、もしもそれが非常に硬かったらどうなるだろうか。硬いモノフィラはループを描いて伸びずに、まっすぐの状態のままでうまくターンオーバーしないはずだ。むしろ、バットセクションは柔らかいほうがずっとまともに役割を果たすのだ。バットリーダーの素材にブレイデッドラインを使うと、このことがよく分かる。
通常のモノフィラ・リーダーではうまくターンオーバーさせることができず、キャストが下手だと思われていたフレッシュウォーター・アングラーがバットセクションをブレイデッドラインに替えただけで見違えるようなキャストをするようになったという話を聞いたことがある。これはすべてブレイデッドラインの柔らかさの仕業なのだ。もちろん、極端に柔らかいモノフィラは、硬すぎるモノフィラと同様にリーダーのバットセクションとしては不向きである。ソルトウォーター用フライリーダーのバットとして理想的なモノフィラメントは、硬くも柔らかくもないスピニング用のラインだろう。

5 ロングディスタンスでは魚をキャッチすることは難しい!

私が思うに、これはロングキャストができないアングラーが考えた神話ではないだろうか。私がフルライン(時にはバッキングまで)をキャストしてキャッチした魚は数えきれない。フックがシャープで、リトリーブ中ラインに弛みがなければ、ロングディスタンスでのセットフックには何の問題もない。
つい先日も、ベネズエラのロス・ロケスでこんなことがあった。最終日の釣りを終えてボートのところまで歩いていたときのことだ。ガイドと私は遠くのサンドフラットでクルーズする1尾のボーンフィッシュを見つけたのだ。私はリールからすべてのフライラインと12ftのバッキングを引き出し、そのボーンに向けてキャストした。まさにラストチャンスだった。フライに向かって泳ぐボーンの影を確認し、ロッドを上空へ振り上げた瞬間、フックは見事にその魚の口にめり込んだ。私たちはランディングに成功した。82ftのフライラインと12ftのバッキング、そして14ftのリーダー。キャストした距離は計108ftであった。ボーンフィッシングでそんなロングキャストをしたのは、この時が初めてだった。フックをシャープに研いでおいたおかげでフッキングには何の支障もなかった。
ロングキャストできるということは、難しい状況の下でも何とか切り抜けられるということであり、また他人が狙えない所を狙うことができるということなのだ。

6 釣りはいつでも朝と夕方がベスト

これもまた真実とは程遠い。たしかに、光量が少ない朝や夕方がよりベターであることは多いが、光量以外のファクターが状況をすっかり変えてしまうこともありうる。同じく光量低い曇天や雨天時では、まったくの日中であっても最高の釣りができることもある。魚にはマブタがないので、空が明るいと、ディープに隠れてしまう。彼らは光量が落ちるのを待っているのだ。

7 ポッパーのリトリーブは、各ストリッピング間に静止させるのが鉄則!

ことソルトウォーターに関するかぎり、ポッパーは常に動かしている必要がある。表層に追いつめられたベイトフィッシュは身の危険を察知してパニック状態になる。ポッパーの絶え間ないアクションは、一刻も早く安全な場所へと逃げ惑うベイトフィッシュの動きそのものなのだ。実際、ポッパーを表層で静止させたままにしておくと、下から魚が現れても、たいていは一瞥しただけで泳ぎ去ってしまうものだ。

8 ウィンディーな日はラインの番手を上げてキャストしろ!

これはその時の状況によって、真実とも嘘とも言うことができる。
もしも20ft以下のショートディスタンスを釣っていて、しかも風があるような場合においては、ワンサイズ上のラインは有効である。そうすることによってフライを容易に運ぶことができる。
だが、キャスティングの巧いアングラーが50ft以上の距離をキャストするような場合、まったく逆のことをする必要がある。つまり、ワンサイズ下のラインに切り替えるのである。
たとえば、8番ラインにマッチするロッドであれば、あえて7番ラインを使うのだ。そして、少なくとも40ftはラインを引き出してフォルスキャストする。これだけの長さであれば、8番用のロッドであってもタイトなループでロングキャストすることが可能だ。反対にノーマルよりも重いラインを使うと、フォルスキャスト時にロッドが曲がり過ぎてしまう。その結果、ラインはワイドループを描き、風の中では遠くへ飛ばすことができないのだ。

  筆者紹介/レフティー・クレー Bernard “Lefty” Kreh<br>
ソルトウォーター・フライフィッシングを愛する人で彼の名前を知らない人はいないだろう。その著書はどれも有名で、ビデオ出演本数も並はずれている。おそらく、アメリカで最も有名かつ成功しているフィッシング・ライターではないだろうか。また、彼の考案によるフライパターンも数多く、中でも「レフティーズ・デシーバー」は普遍的なスタンダードパターンとしてあまりにも有名である。主な著書には、「Fly Fishing In Saltwater」「Fly Casting with Lefty Kreh」「Salt water Fly Patterns」「Spinning Tips」「Advanced Fly Fishing Techniques」「Longer Fly Casting」などがある。
 
 
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