ブルーシャークに比べてマコはより食肉魚的な性格が強く、注意を引くためにただチャムの中に漂わせる以上のことをしなければならないこともある。具体的には3つのテクニックが考えられるが、いずれもマコがセレクティブになった時などには非常に効果的である。ひとつの方法は、1〜2インチ角に切ったボニートかマッケレルの切り身を1つ海面に強く叩き付けるようにして投げつけ、その切り身をマコに食わせる。この「投げては食わせる」という一連の動きがパターンとして完全に確立するまで繰り返す。そのようにして4〜5回繰り返した後、切り身の代わりにフライをキャストするのである。切り身でそうしたように、今度はフライを海面に強く叩きつければ、マコは何の違和感もなくフライを口にするというわけだ。
もうひとつの方法は、フックなしのラインに生きたマッケレルをセットして、ティージングするというものである。マコが寄ってきたら寸前でティーザーを引き離し、苛立たせるわけである。その際、マコは驚くべきスピードでティーザーに向かってくるので、ティーザーを食べられてしまわないよう充分に注意をしなければならない。もしもティーザーを与えてしまえば、サメの興味と動きを止めてしまうことにもなりかねない。寸前のところでティーザーを引き離したら、その鼻先にフライをキャストしてやればよい。
マコはワールドクラスのゲームフィッシュである。使用するタックルにも最大級の強さが要求される。南カリフォルニアに多い40〜50ポンドクラスには、#12タックルが望ましい。リールは少なくとも30ポンドのバッキングが250ヤードは巻けるものが必要。ロングキャストはしないので、フライラインもフルの長さは必要ない。ウエイトフォワードをカットするか、シューティングヘッドを使用すれば、それだけ多くバッキングを巻くことができる。
たとえサメが美味な魚であっても、見境なく殺してはならない。小型のマコはリリースのいい練習相手と考えるべきだろう。いずれにせよ、フライタックルではたいしたダメージは与えられないのだから、リーダーを切ってしまうのが最良の方法である。
「the mako is the aristocrat of sharks.(マコはサメの貴族である)」とは、かのゼーン・グレイの言葉である。太平洋を放浪する貴族の顔を拝みに出かけてみるのも悪くないのではないだろうか……。