普遍の確率
その半年間だけでも以上のような時を無為に過ごしてきているだけに、「Star Fleet」のエリックから誘われて、8月にまたしてもカボを訪れた時には、デジャヴューのような感覚に襲われたものだ。
エリックが言うには「ブルーは間違いなく来てるよ。正しい時に正しい場所にいることが大切なのさ。ウチのボートは毎日2〜3尾のストライプを上げてくるし、ブルーも2日に1尾は上げてる」ということだった。「2日に1尾」。この率は世界中のどこでもほとんど変わらない普遍の確率であるようだった。友人のカム・シグラーもまた電話でこう言った。
「オレは数学者じゃないが、6ビルフィッシュを7ビルフィッシュにするためには7番目の魚が必要なんじゃないか? 実際のところ、勝ち目はあるのかい?」そんなこと考えたくもなかった!<br>
ブルーマーリンと他のマーリンとの違いは明らかだ。釣り方の種類にかかわらず、ブルーマーリンを釣ったことがあれば、私が言おうとしていることは分かってもらえるはずだ。ホワイトやストライプ、ブラックなどの場合、ベイトやルアーの後方に姿を現わすと、たいていビルでルアーを叩き、ためらうような行動をする。または、ストライクを躊躇するように後を追ったりする。セイルフィッシュもそうだ。私はパシフィックセイルフィッシュだけでも80尾程度は釣っているが、フライにヒットする前にその姿を確認できなかったことなど1度もないのだ。
ところが、ブルーマーリンはどうだ! 何の前ぶれもなく突然ストライクしてくるのだ。まさにプレデターそのものである。スキッパーのほとんど全員がブルーマーリンを特別扱いして、キャッチしたがるのもうなずける。 |