BILLFISH ON FLY(1) BEST FLY FISHING REELS FOR BILLFISH
フライタックルによる初のセブンビルフィッシャー、 ジャック・サムソンが選んだビルフィッシュ用ベストフライリール
文/ジャック・サムソン 訳・構成/編集部
フィッシングにおいて、リールはロッドと並んで重要なものだが、それがソルトウォーターフライフィッシング、とりわけ相手がビルフィッシュとなると話はよりシリアスになってくる。この釣りにおけるフライリールの役割は、ただラインをストックしておくための器などでは決してない。まさにファイティングウエポンと言えるだろう。今回は、性能の差がロッドよりも露骨に表われるとされるビルフィッシュ用フライリールの実践案内だ。
YOU GET WHAT YOU PAY ビッグゲーム用フライリールの性能は支払った金額に比例する
フライタックルによるビルフィッシングを成功させるか否かは、アングラーのテクニックよりむしろタックルの善し悪しが大きく左右すると言っても過言ではない。そのタックルの中でもリールは特に重要である。たとえば、ロッドの性能に多少問題があったとしても、ランディングが「多少」厄介になるだけですむが、フライリールに問題があれば、それが原因でロストフィッシュしてしまう可能性が非常に高い。 ことビッグゲーム用のフライリールに関する限り、その性能は支払った金額に比例すると思って間違いないだろう。つまり、お金をケチれば、それなりのものしか手に入らないということだ。
SAILFISH IS NOT MARLIN セイルフィッシュとマーリンは区別して考える
一口にビルフィッシュ用と言っても、リールはセイルフィッシュ用とマーリン用に区別して考えるべきだろう。巨大なマーリンを相手にしようと思えば、セイルフィッシュ以上に金をかけなければならない。一般にセイルフィッシュ用フライリールに要求されるのは、30Lbのバッキングが350〜400ヤード巻けるだけのラインキャパシティーと高性能のドラッグシステムである。 この条件に当てはまるフライリールは多いが、有名なのはビリー・ペイトのターポンやフィンノールの#4と#4&1/2、エーベルの#4、STHグランドスラム、サイエンティフィック・アングラーズのシステム2(モデル1213)やシステム3などである。(当時ビリー・ペイトの小売価格は約450ドル、フィンノール#4は約500ドル、エーベル#4は550ドル、STHは450ドル、システム3は525ドルとなっていた)
TRUE MARLIN REELS マーリン用フライリールとは?
したがって、ビルフィッシュ用フライリールとしての真価が本当に問われるのは、パシフィック・セイルフィッシュとマーリンとのバトル時ということになる。私が初めてパシフィック・セイルフィッシュをキャッチしたのはかれこれ10年前、コスタリカ沖でのことだった。魚のウエイトは105Lb。私はビリー・ペイトのターポンを使っていたのだが、その時私は、いざビルフィッシュに挑む時には、全ての種類とやり合えるだけのリールを使う必要があると実感したものだ。 現在ショップに並べられているリールの中で、本当に「マーリン用」と呼べるものはそう多くはない。ビリー・ペイトのマーリン、エーベル#5(生産中止のため、入手は不可能)、そしてフィンノール#5などである。ビリー・ペイトのマーリンは、30Lbのミクロンまたはダクロンバッキングを600ヤード巻くことができ、エーベル#5は同じく30Lbを900ヤード巻ける。フィンノール#5はのラインキャパは30Lbを750ヤード。もちろん、これらはバッキングの他に、25〜30ftのファストシンキング・シューティングヘッドを巻くことが可能だ。ドラッグシステムは3機種ともにエクセレント! 私自身、この3機種すべてでビルフィッシュをキャッチしている。小売価格はペイトのマーリンが約450ドル、フィンノール#5が約650ドル、エーベル#5が1,200ドル程度であった。
RIGHT-HANDED OR LEFT-HANDED 右巻きか左巻きか
ソルトウォーター用フライリールには、たいてい右巻きと左巻きが用意されている。どちらを選ぶのか(つまり、利き腕で巻くのか、利き腕でないほうの手で巻くのか)はあくまでも好みの問題なのだが、私自身は左巻きを使用している(私は右利き)。というのも利き腕である右腕のほうが左腕よりも強く、強い右腕でロッドを持ったほうがビッグフィッシュとのファイトがしやすいことに気付いたからだ。それからというもの、私はビッグゲームのフライリールをすべて左巻きに替えてしまった。同じソルトウォーターのゲームフィッシュと言えども、ボーンフィッシュとマーリンではパワーが全く違う。ことマーリン用に関する限り、私の選択は過っていないと思う。