Fly Fishing with Lefty Kreh Techniques &Tips
レフティー・クレーのソルトウォーターフライフィッシング(7)
THE IMPORTANCE OFEYES ON FLIES アイの重要性
監修&文/レフティー・クレー 訳&構成/スポーツアングラーズ編集部
ミノーフィーダーのゲームフィッシュが多いソルトウォーターのフライフィッシングでは、フライをよりミノーライクに見せるための工夫が必要になる。当然、ミノーっぽいシルエットを意識したパターンを使うことになるわけだが、かなり重要なのが実はアイ(目玉)である。アイを付ける付けないで大きく釣果が変わるという筆者レフティー・クレーの考え方は、多くの食肉魚たちがベイトフィッシュの頭部を狙って攻撃している事実を考慮した時、かなりの信憑性を帯びてくる。しかも、アイの効果は何も対ミノーフィーダーに限ったことではない。ビーズチェーンやレッドアイといったウエイテッドアイを使用したフライパターンは、甲殻類を主食にしているボーンフィッシュをはじめ、実に多くのゲームフィッシュにアピールする。ウエイテッドアイはモーションレスなフライにアクションを与える数少ない方法のひとつなのだ。
食肉魚にとって、ベイトフィッシュの目玉は標的!?
アイ(目玉)の付いたフライパターンというのは、意外にも少ないものだ。だが、魚をフライにストライクさせるか、無視させるかの違いには、実はこのアイが大きく影響している。それも実に多くの状況において…。
食肉魚が小魚を襲う時には、必ずベイトフィッシュの目玉を狙うと私は考えている。食肉魚にとって、ベイトフィッシュの目は、きっと標的か何かのようなものにちがいない。この傾向は特にクリアウォーターにおいて顕著になる。クリアウォーターでは、単にアイの付いたフライパターンというだけではなく、大げさに誇張した「巨大な目玉」の付いたパターンが食肉魚の関心を魅きつけ、ストライク率を高めることを、私は経験から学んでいる。同じパターンのフライに小さなアイと大きなアイを取り付け、まったく同じ条件のもとで使ってみるという実験を繰り返し行なってみたところ、ストライクが多かったのは決まって大きなアイの付いたほうだった。
「ペイント・オン・フェザー」という画期的なアイの取り付け法
フライに取りつけるアイには、多くの種類がある。最も一般的なのは、ヘッドに直接ペイントするという方法である。しかし、この方法には決定的な欠点がある。ヘッドの限られたスペースにペイントするため、小さすぎて目立たず、たいした効果が上がらないという点だ。
シールアイ、レッドアイ、ブラスアイ、ビーズチェーンなど
フライの重さを変えずにアイを取り付けるもうひとつの方法としては、市販のシールタイプのアイを張り付けるというのがある。これはサイズやカラーの種類が豊富で、しかもシールタイプなので、フライへの取り付けも極めて簡単である。サイズは直径1/8インチ(約0.3cm)の小さなものから、1/2インチ(約1.3cm)の大きなものまで豊富に揃っている。ほとんどの製品はマイラー(日本ではレインボーシートと呼ばれているもの)になっており、ハイ・コントラストで水中においても非常に目立つのが特徴だ。
リトリーブによってアイは音波を発生するという事実
先述した標的としての目玉という効果の他にも、アイにはある種の音波を発生するという効果もある。水が濁っていたり、あるいは日没後の薄暗いなかでは、大きめのアイがストライク率を高めるものだ。大きく両サイドに突き出したアイを持つフライは、リトリーブすると水の抵抗を受けて音波を発生する。視覚が効かない状況のなかでは、音波は魚の注意をフライに向けさせる重要な役割を果たすのである。 この音波を最も激しく発生するのがビーズチェーンである。大きめのビーズチェーンを付ければ、かなり派手な音波を発生させられるばかりか、沈下スピードもレッドアイほどではないので、比較的サーフェスを狙うことができる。 しかし、ビーズチェーンやレッドアイ、ブラスアイを使用する最大の理由は、当然ながらフライを素早く沈めることにある。フライをできるだけ素早く沈めたいなら、より重いアイを使えばよく、これにはやはりレッドアイがベストチョイスと言えるだろう。クレイジーチャーリーやクラウザーディープミノーがあれほど効果的なのは、素早く沈み、ディープを効率よく探れるからなのである。 だが、このような重いアイを付けたフライが効果的なもうひとつの理由は、フライ自体がアクションするという点にある。フライのヘッド部分にアイが付いているパターンは、リトリーブを止めるごとに素早く沈下する。したがって、リトリーブ&ストップを繰り返せば、フライはまるでバスフィッシングで使用するジグヘッドのように上下するのだ。
<バラマンディには1/36ozか1/24ozのレッドアイ> 写真は筆者レフティー・クレーがニューギニアでキャッチしたバラマンディ。マングローブの際を狙うバラマンディをはじめ、ほとんどのインショアフィッシングで、1/36ozか1/24ozのレッドアイがちょうどよい。それ以上になると、9番以上のタックルが必要。
<オフショアの魚にはヘビーなレッドアイが効果的> スパニッシュ・マッカレルのようなオフショアのゲームフィッシュには、沈みの速いヘビーなレッドアイが効果的だ。ストップ&リトリーブを行なうことによって、ヘッドにペイントしただけのパターンでは得られないキビキビしたアップ&ダウンのアクションが生まれる。
<アイの種類はシチュエーションに応じて変える> 現在使用されているアイ各種。左上からレッドアイとブラスアイ。ブラスアイはレッドアイより軽いのが特徴。右上はビーズチェーン。右中央はフェザーアイ。重さを変えることなく、大きな目玉模様を付けられる。右下は手軽なシールアイ。左下の2つはペイントアイ。
<ボーンフィッシュ用フライには軽めのレッドアイ> クレイジーチャーリーやクラウザーディープミノーなど、ボーンフィッシュ用のフライパターンにウエイテッドアイは欠かせない。レッドアイなら1/50ozと1/100ozの2サイズが標準。2フィート以上の深さがある場所では、1/24ozを取り付けたフライをチョイスする。