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HOME CHASE フライでカジキを釣る ノーザンクイーンランドのブラックマーリン〈フライ編〉

FLYROD-SIZED BLACK MARLIN
OF NORTHERN QUEENSLAND
ノーザンクイーンズランドの
ブラックマーリン

by Jack Samson

ポーリング・グリーン岬沖にて筆者ジャック・サムソン(右)がキャッチした約50Lb(24kg)のブラックマーリン。左はチャーターボート「シーデューサー」のメイト、アラン・ザボニー。45分に及ぶファイトの末にボート下まで寄せたが、9ft12番ロッドのトップフェルールが真っ二つに折れ、危ういところでアランがタグを打ってくれた。ロッドひとつにしても、セイルフィッシュとマーリンを同一に考えるのは危険だ。

 
オーストラリアのブラックマーリンというと、当ウェブ(第6章ビッグゲームの重要資料内ケアンズのビルフィッシング開拓史参照)でも紹介したケアンズ周辺の1,000Lbオーバーのイメージがどうも強い。だが、ブラックマーリンをフライロッドのターゲットにするとなると、まさかグランダー狙いというわけにはいかない。自然、フライ向きのサイズを狙うことになる。問題なのは、そんな都合のいい大きさのブラックマーリンが、都合のいい数だけ特定の海域に集まっているのかどうかだが、実はそれが集まっているのだ! オーストラリアのクイーンズランド州北部、ボーリング・グリーン岬からケアンズにかけての一帯には、8月から11月にかけて、小型ブラックマーリンのスクールが見られる。リザードもいいけど、フライでヤルなら、絶対ココだ!  
  フライロッダーにとって、マーリンほど不確定要素が多く、冒険を強いられるゲームフィッシュはないだろう。だが、オーストラリアのクイーンズランド州北部には、唯一自信を持って狙える対象魚がいる。タウンズビルの南に位置するボーリング・グリーン岬からケアンズに至る一帯には、毎年8月から11月にかけて、25〜100Lbクラスの小型ブラックマーリン(シロカジキ)が大きなスクールで集まる。
フライによるブラックマーリンを初めてキャッチしたのは、フロリダ州アイラモラーダの伝説的フライフィッシャーマン、ビリー・ペイトである。1972年、ケアンズ沖でのことだ。オーストラリアに凄い場所があると、当時ペイトは私に教えてくれたものだが、その時はまだ、太平洋を横断してまでビルフィッシュを追いかけるなんてバカらしいと考えていたので、それほど触手は動かなかった。
しかし、1983年にジャマイカ沖でアトランティックブルーマーリン(ニシクロカジキ)をキャッチし、1990年にマサトラン沖でストライプトマーリン(マカジキ)をキャッチしてからというもの、私はたとえ世界の果てでもとことんマーリンを追いかける気になっていた。というのも、ペイトはすでにアトランティックブルー(ニシクロカジキ)、ストライプ(マカジキ)、ホワイト(ニシマカジキ)、ブラック(シロカジキ)の4種のマーリン(セイルに関しては、ペイトも私も充分に釣っていた)をキャッチしていたが、もし私がもう2種をキャッチすれば、ペイトの記録にタイで並ぶことになる! つまり、私にはどうしてもブラック(シロカジキ)とホワイト(ニシマカジキ)の「2種」を釣りたい理由があったわけである。
 
同行したオーストラリアのロッドビルダー、イアン・ミラーが、キャッチした小型ブラックをリリース。

「シーデューサー」はタウンズビルをベースにするチャーターボート。一路、ボーリング・グリーン岬を目指す。
  そこで、まずはベネズエラのラ・グアイラかメキシコのコスメルあたりでホワイトマーリン(ニシマカジキ)を手堅く狙い、はるか彼方のオーストラリアはその後にじっくり攻めるという計画を立てた。ところが、そんな私のもとへある日「オーストラリア・ゲームフィッシング・エージェンシー」のウォーレン・アレンから招待状が届いた。40ftのスポーツフィッシャーマン「シーデューサー Seaducer」を用意してあるので、ぜひともブラックマーリンを釣りにきてほしいというのだ。スキッパーはボーリング・グリーン岬一帯のブラックとセイルを開拓したベテラン、カルバン・タイリーだという。断わる理由などあるはずもない。まさに願ってもないチャンスなのだ。私は一路タウンズビルを目指した。
ブラックマーリンのポイントはタウンズビルからボートで1時間半から2時間ほどのところで、ボーリング・グリーン岬からだと北西約10マイルあたりになる。キャプテンのタイリーは75ftの超豪華マザーシップ「パシフィック・アドベンチャー Pacific Adventure」を利用して、往復に掛かる時間のロスを最小限に抑えている。マザーシップをボーリング・グリーン岬の風裏に停泊しておき、夜は「シーデューサー」をそこに係留するのだ。こうすれば、ブラックのポイントまでは片道2時間、往復で4時間は走らなければならず、必然的に釣りをする時間も短くなる。
今回の釣行には、私の他に2人のオージーがゲストとして招かれていた。ロッド・ビルダーとして知られるイアン・ミラーと、アウトドアライターのスティーブ・スターリングである。
 
マザーシップ「パシフィック・アドベンチャー」(Pacific Adventure)。この豪華船をベースに、「シーデューサー」でフィッシングを楽しむのだ。マザーシップを利用すれば。タウンズビルとの往復時間を短縮でき、その分をフィッシングの時間に当てることが可能。安くはないが、利用価値は高い。

「シーデューサー」のキャプテン、カルバン・タイリー(ヘルムステーション)。彼はボーリング・グリーン一帯のブラックマーリン&セイルフィッシュを開拓したベテランのスキッパー。フライフィッシングの知識もあるので、余計な心配をせずにフィッシングに専念できるのは嬉しい限りだ。
  初日はミラーとスターリングの2人がライブベイトで小型のブラックマーリンを数尾キャッチした。私も5/0のタンデムに巻いたディアヘアーストリーマーで1尾フックアップしたが、6度目のジャンプでフックを外されてしまった。とはいえ、フライでもブラックがキャッチできるという自信は持つことができた。
2日目はもっと小さなフライに替えた。ドン・ドラウンが巻いたブルー&ホワイトのストリーマーで、3/0のタンデムである
ちょうど正午を過ぎた時、左舷に流していたバラオ(バリフー。オーストラリアでは「ガーフィッシュ」と呼ばれる。バラオの仲間は数種類あるが、いずれもHemiramphidaeに属する)のフックレスティーザーにブラックがアタックした。
「ビルフィッシュ!」キャプテンのタイリーが叫ぶと、すかさずメイトのアラン・ザボニーがティージングを開始した。右舷のティーザーとアウトリガーから流していたコナヘッドルアーは、イアン・ミラーが素早く回収してくれた。
私はバックキャストに備えて、ウェーキの中へ20ftほどラインを出した。アランがティーザーを水中から抜き上げたのを確認してから、私は「OK!」と叫び、フライをピックアップした。私の合図と同時に、タイリーはギアをニュートラルに入れた。フライは、突然消えたティーザーを捜すマーリンの左約6ftのところに着水。と同時に、フライをテイクしたブラックは、水面を切り裂きながら左に突っ走った。
私はロッドを右に倒し、それからハードなジャークを数回行なってフックセットした。途端にマーリンはサーフェスを蹴散らすようなジャンプを繰り返し、飛沫を派手に飛ばした。ロッドティップを高く掲げながら、巨大なビリー・ペイト・リールからシューティングヘッドとランニングライン(40Lbテストのモノフィラを100ft)、30Lbのミクロンバッキングが飛び出していくのを耐える。200ヤード先では、ジャンプを止めたブラックが今度は潜り始めている。
 
ティーザーはガーフィッシュ(バリフー)を用いる。4尾のガーフィッシュをスプレッダーにセットして流す。この他にもフックレスにリグしたルアーも流す。

ブラックマーリンとファイト中の筆者。この直後に災難は起こった。
  魚を追いかけて「シーデューサー」がバックするにつれ、ラインは再びサーフェスに上り始めた。すると、マーリンは見事なジャンプを繰り返し、身をくねらせながら海面下へ消えた。
フックアップから45分後、その小型のブラックマーリンをようやくスターンの真下まで寄せることができた。サーフェスに引き上げようと、私は渾身の力をその9ft12番のロッドに掛けた。が、その時、耳をつんざくような激しい破裂音が聞こえた! 私は後ろに倒れかけたが、見ると、ロッドがトップフェルールの部分で真っ二つに折れている。すっかり頭に血が上りながらも、まだバレていないことを祈り、すかさずトランサムから身を乗り出し、バット部を支えた。しかし、メイトの行動は素早く適切だった。私はアランへの感謝を忘れないだろう。彼はガンネルに乗りかかり、完璧にタグを打ち込んでくれたのだ。
「OK。大丈夫」メイトのアランが笑みをうかべた。「もう何が起きても、コイツはあんたの魚だよ」。
マーリンはすっかりおとなしくなり、折れたロッドでリフトしても、ゆっくりだが浮上してきた。しかし、ロッドが短くスターンに近すぎたのか、マーリンは左舷のプロペラに向かってダイブし、ビルを傷つけてしまった。それでも、なんとかギャフをビルに掛けて舷側に寄せ、ビルをつかんでランディングに成功した。

私にとってのオーストラリアは、ノーザンクイーンズランドのブラックマーリンの記憶とともにある。アメリカ人にとってオーストラリアは遠い国だが、日本のアングラーには身近な国のはず。あの広大で開放的な海は、中南米にはない独特の魅力がある。
  メイトがその小型のブラックマーリンを抱え上げると、私の喜びは一気に爆発した。推定重量は40Lb。本当に小さなブラックマーリンだ。しかし、きっとやがては1,000Lbを超えるグランダーにまで成長するのだ。もう15年以上も昔の話になるが、実は私もあの有名なリザードアイランドで1,000Lbオーバーを釣ったことがある。もちろん、トローリングの80Lbタックルを用いてだ。しかし、たとえこんなに小さなブラックマーリンであっても、フライロッドでのファイトは、80Lbタックルでファイトしたグランダー以上にエキサイティングなものだった。
もしも、ブラックマーリンをフライで狙いたいのなら、8月から11月にかけてのクイーンズランド北部は絶対にお薦めだ。なにしろ我々アメリカ人が中南米に行く気軽さで、日本人はオーストラリアに行けるのだから…。
 
マーリンとのバトルはドラッグだ。やればやるほど癖になる。タフな魚ほど快感は大きいが、その後の中毒症状も極端だ。さらに強烈な快感を求めて海を彷徨うことになる。
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