その25周年を迎えたJIBTで今年、新たなステージの幕開けを予感させる画期的な試みがなされた。
下田沖、ひょうたん南。34°17'N、139°00'Eの洋上で、刮目すべき偉業が達成されたのである。
船は『アドミラルVI』、そう、あのベテラン前田利幸が率いる『アドミラル・フィッシング・クラブ』の面々がクロカジキへの『ポップアップ・アーカイバル・タグ』の装着に成功したのである。このタグは水深や水温と共に、照度センサーのデータをも蓄積できるアーカイバル機能と、内蔵した時限装置により、設定日時が来ると自動的に魚体から切り離されて(pop)浮上(up)する機能を備えた優れモノで、浮上後に衛星を介してそれまでに蓄えたデータを送ってくれる画期的なタグである。
JGFAの『タグ&リリース』活動は広く知られているもので、その活動は学術的にも高く評価されているものの、これまでJGFAメンバーによってカジキに打たれた一般的なダートタグやTBFタグ(for only marlin made by The Billfish Foundation, U.S.A.)の再捕例がいまだ報告されていないのが実情であった。
国内のスポーツアングラーの手によってカジキに初めてタギングがなされたのは1985年8月15日のことである。新島沖で初代JGFA会長、故大西英徳が推定30kgのマカジキに標識放流を実施したのが最初の記録である。以来、昨年までにJGFAメンバーの手によってシロカジキ5、クロカジキ267、マカジキ44の合計316のタグが打たれたが、先に述べたように再捕の記録は一例も報告されていない。