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DON MANN BIG GAME TECHNIQUES & TIPS
ドン・マンのビッグゲーム・テクニック(7)
Choosing of Offshore Lures
トローリングルアーのカラーについて

写真・文/ドン・マン
訳・構成/編集部

 
 
トローリングルアーのカラーに関して、読者諸兄はどのような選択の基準を設けているのだろうか。自らの経験から導き出された何かに従っているアングラーもいるだろうし、その土地その土地でよいと言われているカラーを使っているアングラーもいるだろう。一説によると、ビルフィッシュは、水中を支配する光の波長「ブルー」のみを認識しているという。では、はたしてショップを彩る様々なルアーカラーは無意味なのだろうか。それとも何か法則があるのか。好評連載ドン・マンのビッグゲーム・テクニック、今回は迷信と伝説が渦巻く色の謎に迫る!

上:オーバー(over)のスカートとは、ある色のスカートに別の色のスカートが被さっているタイプのこと。例えば、パープルoverブラックといえば、ブラックのスカートの上にパープルのスカートが被さっているということ。<br>
下:スカートが半分ずつ色分けされているようなタイプもある。例えば、ピンク&ホワイトといえば、それぞれの色に半分ずつ塗り分けられているスカートのこと。

 

いわゆる「ヒットカラー」とは……

オフショア用トローリングルアーの中で、特にビルフィッシュに効くとされているスカートカラーは実に多い。多過ぎる。
経験を積んだアングラーなら誰だって自分だけのフェイバリットカラーを持っているはずだし、世界各地には「効果大」とされる特定の色が必ずあるものだ。いったいどれが正しく、どれが間違っているのか?
「全てが正しく、全てが間違っている。」おそらく、これが本当のところだろう。
つまり、こういうことだ。ある日、ある場所で、ある色のルアーにマーリンがストライクしたとする。それはひょっとすると偶然だったかもしれない。だが、結果的には、その色が良かったのだとされてしまう。そして、たちまちのうちに、その色は神聖な真理として語られ始めるのである。流行りのカラーが誕生する過程は、ざっとこんな感じだ。
さらに、各地方にはまさに地方色豊かなヒットカラーが存在している。アメリカのニュージャージー沖では「グリーン」に定評があり、メキシコのバハでは「イエロー&オレンジ」や「グリーン&オレンジ」が絶対とされる。ところが、大西洋やカリブ海では「ブラックoverブルー」(ブルーのスカートにブラックがかぶさっているということ)や「ブラックoverパープル」のような暗めの色に人気が集中し、時に「ブラック&オレンジ」が好まれる。
かつてブラジル沖でキャッチされたアトランティックブルーマーリンの世界新記録(636kg、60kgライン)の場合も、状況は同じだった。この記録は「ピンク&ホワイト」のルアーで達成されたのだが、その後、縁起担ぎに多くのアングラーがこのカラーコンビネーションをタックルボックスに忍ばせたものだ。

ビルフィッシュの眼は青しか識別できない!?

ついこの間のことだが、私はちょっと面白い科学論文を読んだ。そこでは、なんとマーリンは実際にはあるひとつの色しか見えないと記されていたのだ! ある1色とはブルー、青である。かく言う私も、自分なりのフェイバリットカラーというものを持っており、実際そうした色のルアーで多くのビルフィッシュを釣っているので、この話にはたいして驚きはしなかったが……!?
たしかに、以前から言われているように、「ルアーの色はたいした問題じゃない」のかもしれない。だが、ルアーの色を替えるという行為に私を駆り立てるのは、やはりその色が持っているはずの効果なのだ。だから、科学論文に何が書かれていようと、私には関係ないのだが!? 参考までに、その論文の内容を簡単に紹介しておこう。

 
これらの豊富な色の中から、アングラーは選択しなければならない。選択の成否は結果だけが教えてくれるだろう。

同じヘッドシェイプの4つのルアー。違っているのはカラーのみ。アングラーは選択の基準を何に求めるべきなのか。
 

色を感じる仕組みというのはなかなか複雑で、波長の異なる光線を眼がどの程度まで処理できるのかによって、実際に見える色というのは違ってくるらしい。光の波長を受け取る眼の組織は「円錐体」と呼ばれていて、それぞれの「円錐体」には特定の波長にのみ反応する色素がある。つまり、これらの色素がそれぞれの色に反応するわけである。
ところが、一部の魚種に限っては、水中に存在する色の分だけしか色素がない場合があるという。マーリンが生息するようなオフショアの海中では、赤が吸収され、青が透過するのだが、どうやらビルフィッシュの眼の色素は、この青の波長にしか反応しないということらしい。
とは言え、このように実際に色を「認識する」ことは不可能でも、周囲とのコントラストによって色を「見分ける」ことなら可能なはずだ。正確に言えば、「色」を見分けているわけではないのだが、例えば、空の明るさやボートの航跡に輝く銀色の泡など、明暗や影によって色の「濃さ」を見分けることは可能だろう。だから、下から海面を見上げた時の、背景に対する明暗のコントラストによって、ルアーの色を見分けているとも充分に考えられる。

はたして我々の苦悩は無意味なのか

では、このような事実を踏まえた上で、我々はいったいルアーカラーをどう選択するべきなのだろうか?
たしかに、このビルフィッシュの視覚に関する話については、そんなこともあるんだなということを頭のどこかで意識しておくことは大切かもしれない。だが、基本的にはあなたのやり方をそのまま続ければよいのだ。明るく晴れわたった空には暗めの色、鈍曇りの空には明るめの色という具合に、背景となる空とのコントラストを強調するようなカラーをチョイスすると同時に、当然、自分自身の経験と地元の言葉にも耳を傾ける。結局はそんなところに落ち着くのではないだろうか。

 
一時期、爆発的に流行したソフトヘッドルアーだが、ここでもやはりアングラーはカラーの選択を迫られる。

選択の基本は背景とのコントラスト。背景(空)の明るさに対してコントラストの強いカラーを選べば、当然アピール力は高まる。
  あれこれ言っても、私自身の経験から導き出された私自身のフェイバリットカラーは、やっぱり私自身には効果大なのだ。ちなみに私のフェイバリットを紹介すると、ほとんどの状況で少なくとも1つはダーク系のルアーを使っている。ブラックに何か他の色(ダークブルー、パープル、オレンジ、レッド、ピンク、グリーン)のスカートをoverさせたようなカラーコンビネーションである。他には、「ブルーoverホワイト」や「ブルーoverシルバー」「ピンクoverホワイト」「グリーンoverイエロー」などもしばしば使用する。かつて派手カラーのドン・マンとして知られていた頃には、「ブルーoverピンクoverイエロー」のようなシンディー・ローパー並みのルアーを曳いていたものだ。
先に述べたように、各地域で実績が高いと言われているカラーには、たしかに何かがあるように思える。それに加え、仮にビルフィッシュがブルーしか識別できないとしても、アングラーはありとあらゆるカラーを買いまくり、ある特定の条件のもとではそれらが効果絶大だと信じきっているのだ。たとえ信憑性の高い科学的なデータといえども、彼らの考えを改めさせるまでにはまず至るまい。
 
私にしても、自分の考えを曲げるつもりなど毛頭ない。ダーク系のカラーコンビネーションを中心に、いくらか明るめのカラーも取り入れて、ひととおりのヘッドシェイプを用意するだけだ。
とはいうものの、「ブラックoverダークブルー」のコンケイブフェイス・オールアイスタイルだけは、いつでも携帯するようにしている。別に例の科学データを信じているつもりはないのだが、これだけは決して忘れたことがない。
 

筆者紹介/ドン・マン(Don Mann)

アメリカのビッグゲーム・シーンを語る時には欠かせないライター&フォトグラファー。ただ傍観者として関わるのではなく、自らもロッドを握る。アメリカでは非常に名の知れたアングラーである。事実、すべての9ビルフィッシュを11カ月と1週間のうちにキャッチするという偉業を達成しており、IGFAに認定され、1989年のギネスブックにも名を残している。この記録は当ウェブで紹介したラス・ヘンズリーに破られるまで史上最短のものであった。また、37kg(80Lb)テストラインで810Lbのアトランティック・ブルーマーリンをキャッチしており、栄誉あるIGFA「10to1クラブ」入りを果たしている。共著に「Great Fishing Adventures」があり、「Marlin」「Fishing World」「Florida Sportsman」等に記事を連載している。

 
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