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TECS & TIPS ON BIG GAME
テクニックハウツー特集

文・構成/(株)八点鐘
イラスト/高橋唯美

 
 
このサイトがオープンする頃には水温も上り、ビルフィッシュを初めとするビッグゲームフィッシングは本格的なシーズンを迎えていることであろう。ここでは、貴重な1尾との出会いを確実にものにするテクニック&メソッドを6つ紹介しよう。筆者はベテランのドン・マンと、ハワイの実践派ライター、ジム・リズトー。写真やイラストを多用してあるので今年から始めようというアングラーにもきっと参考になるはずだ。
テクニック1   ラインの絡みを防止する/ワックスラインによるラッピング Tangle-Free Connections
テクニック2   ダブルラインとリーダー/それぞれの長さをいかにして決定するか Choosing Length Of Double Line And Leader
テクニック3   外側をナイフエッジに研くシャープニング法 A New Look at a Penetrating Issue
テクニック4   トローリングルアーのスプレッドを決める Setting Out a Trolling Lure Spread
テクニック5   フックアップ率を高めるリギング&メソッド Getting Hooked. Staying Hooked.
テクニック6   ドラッグを設定する Setting the Drag on Lever-Drag Reels
 

 

テクニック1−By Jim Rizzuto
Tangle-Free Connections

ラインの絡みを防止する
ワックスラインによるラッピング

プロのスキッパーたちは、ノット部やスプライス部を保護するためにワックスライン(デンタルフロス等)でラッピングする。ここではスイベルに絡んだグリンチノットを例に、その方法を紹介してみた。やり方としては、ビミニや三つ編みなど、ダブルラインを作るノットでも同じだ。ところで、スイベルのノット部をこのように保護する理由は何だろう。最大の理由は、ラインの絡み防止である。スイベルにラインが絡みついてしまうのは、ライブベイトの場合などにはよくあることだ。もしも絡んだ状態のままビッグフィッシュがストライクすれば、間違いなくラインブレイクする。こういったラインの絡みは、そんなに起こりそうもない一種の事故のように思いがちだが、実際には驚くほど頻繁に起こるものなのだ。ちょっと考えただけでも、ライン絡みが起こりやすい状況は3つほど思い浮かぶ。まずひとつは、マーリンに追われたライブベイトがボート方向に向かって急速に泳いだ結果、ラインにスラックができた場合。この時、スイベルは自重によって沈み、たるんだラインを拾ってしまう。これと同じことは、ベイトにストライクした魚がボートに向かって泳ぎ続け、スイベルを追い越した場合にも起こる。また、ライブベイティングで非常に長いドロップバックを設けている時にも、ストライクでリリースが外れた後、長いラインスラックが絡みの原因になることもある。こうしたライン絡みによってビッグフィッシュを失いたくなかったら、あらかじめ解決法を見つけておくことが大切だ。ここに紹介したワックスラインによるラッピングという解決法を実践すれば、少なくともライン絡みによるバラシはなくなるはずだ。

ワックスフロスを用いたノットのラッピング法


これが問題のライン絡み。ダブルラインがスナップスイベルを巻いてしまっている。ラインに水の抵抗が掛かったままでは、絡みが自然に直ることはない。もしもビッグフィッシュの強力な引きが加われば、間違いなくラインブレイクである。
 
通常通りラインをスイベルに結ぶ。ノットの種類としては、クリンチノットのようにノット部分が長いほうがラッピングしやすい。写真1ではパロマーノットで結んでいるが、こういった短いノットはラッピングしにくい。まず、ワックス付きのデンタルフロスを3フィートの長さに切り、半分に折ってスイベルに通す。
 

それぞれのフロスをループに通す。
         

フロスを引き、締める。スイベルではなく、ビミニツイストなどをラッピングする場合は、ダブルラインを巻くようにこのヒッチを行なう。
 
クリンチノットが隠れるまで(ダブルラインまで)ハーフヒッチを繰り返す。
 
さらにそのままハーフヒッチを繰り返し、スナップスイベルとほぼ同じ長さまでダブルラインをラッピングする。
         

滑らかでタイトなフィニッシュを形成するために、まず大きなハーフヒッチを作る。
 
そのままダブルラインを7〜8回巻く。
 
ステップ8で巻いたツイストをハーフヒッチの隣まで引き絞りながら移動させる。
         

フロスの端を引いて締め、余りを切る。いわゆるウィップフィニッシュである。(ウィップフィニッシュはビミニツイストなどのフィニッシュにも用いられる)
 
フロスでラッピングしてあれば、このようにラインが絡んでも解けやすく、またラインも保護される。
   
         
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テクニック2−By Don Mann
Choosing Length of Double Line and Leader

ダブルラインとリーダー
それぞれの長さをいかにして決定するか

IGFAルールはダブルライン及びリーダーの長さを規定している(イラスト参照)。長さはラインクラスに応じて異なるが、10kg(20Lb)テストをオーバーするライン(実質的には30Lbテスト以上)では、ダブルラインとリーダーはそれぞれ9.14m(30ft)以内でなければならない。ただし、ここが厄介なところなのだが、ダブルラインとリーダーの合計長は、それぞれの規定の長さ9.14m(30ft)を2倍した18.28m(60ft)ではなく、12.19m(40ft)以内と規定されているのだ。これはどういうことか。すなわち、仮にリーダーを規定の長さいっぱいの9.14m(30ft)とったとすると、
12.19m(40ft)−9.14m(30ft)=約3.04m(10ft)となり、
ダブルラインの長さはマキシマムで3.04m(10ft)までしかとれなくなる。また反対にダブルラインを9.14m(30ft)とったとすると、今度はリーダーを3.04m(10ft)までしかとれなくなるというわけである。
 
  となると、リーダーとダブルラインのどちらを長くとるべきなのかという疑問が当然持ち上がるが、私はリーダーの長さをギリギリまで長くとるようにしている。というのも、フックアップしたマーリンがファイト中に暴れ、リーダーが魚体にグルグルと巻きついたことが度々あったからだ。もしリーダーが短かったら、きっとダブルラインまで巻いてしまい、最終的にはダブルラインがブレイクしていたにちがいない。
さらに厄介なのは、もしリーダーが完全に巻かれた状態であれば、ランディングが極めて困難になるという点である。ラップ(注1)するべきリーダーがないからといって、ダブルラインをラップすれば、IGFAルールに抵触することになる(注2)。すなわち、リーダー部が残らず魚体に巻きついてしまったら、ラップしようがないのである。
 
そんな最悪の事態を迎えないために、私はリーダーの長さにある基準を設けている。つまり、その釣り場で遭遇する可能性がある最大魚の全長、その長さ分よりも長めにリーダーを確保するのである。こうしておけば、仮に魚がリーダーを巻いてしまったとしても、ダブルラインを傷つける心配はないし、同時に巻かれずに済んだ部分のリーダーをラップして寄せることもできる。具体的な長さとしては、5.48m(18ft)以上というのがひとつの基準になるだろう。つまり12.19m(40ft)の約半分である。ダブルラインはその残りの長さだけとればよい。
がしかし、あまりにも長いリーダーは一方で別の問題を生ずる。魚を寄せる立場にあるリーダーマンにとって、思うように魚を操れないロングリーダーはシリアスな問題である。たとえリーダーをうまくラッピングしたとしても、大型魚であれば寄せるのは困難だ。とはいっても、リーダーを短くしたばかりにダブルラインが魚のテイルによって傷つけられ、ブレイクしてしまったのでは元も子もないだろう。
グランダーのあの巨大さを思い出してほしい。それがもしメスなら、全長に対して不格好なほど胴回りは長大になる。全長は少なくとも4.57m(15ft)はあるのだ。そんな魚にとって、4.57m(15ft)のリーダーを魚体に巻きつけ、ダブルラインを切ってしまうことなど実にたやすいことなのだ。
 
  (注1)ラップ wrap
英語で「巻く」の意。ファイトの最終段階で、リーダーマンがリーダーを手に巻く動作を言う。ラップする際は必ずグローブを着用すること。素手でのラッピングは非常に危険だ。また、突然のダッシュに備えて、ただちにリーダーをリリースできるようラップすること。さらにラッピングによってたぐり寄せたリーダーは必ずボートの外側に逃がす。コックピット内にたぐり寄せたリーダーが足に絡まれば、いったいどういうことになるかは言わずもがなである。
(注2)
IGFAルールでは、「釣り人がファイティング中に、釣り人以外の者がロッド、リール、およびライン(ダブルラインを含む)に直接または間接的にでも触れることは禁じられている」。
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テクニック3−By Jim Rizzuto
A New Look at a Penetrating Issue

外側をナイフエッジに研ぐシャープニング法

フックの刺さりをよくし、なおかつ、しっかりハリ掛かりさせる革新的なシャープニング法が実はある。しかも、研ぎ方はむしろ普通のシャープニングよりも簡単なのだ。
ビッグゲームアングラーたちの多くは、フックはポイント(ハリ先)からバーブ(カエシ)にかけての内側をナイフエッジ(注1)に研ぎあげなければならないという古いしきたりに従っているようだが、内側を研ぎあげるこのやり方だと、フックはファイト中にどんどんと魚の肉または骨に食い込み続け、穴を広げてしまう(下イラスト参照)。これはバラシの原因ともなるタフな問題である。

  ハワイ島コナのキャプテン、マイク・スタンフォードはこの問題を解決するために独特のシャープニングを行なっている。エッジ部分の役目というのは、フックポイントが充分に刺さった時点で終わりなのであって、その後にエッジが肉を切り裂き続けてはならない、というのがスタンフォードの理論だ。以前、彼のボート「MY BOAT」が575.5Lbと691.5Lbのブルーマーリンをウェイインした時に教えてくれたのが、内側ではなく、外側をナイフエッジに研ぎあげるというシャープニング法である。
 

「確実にフックアップさせた魚にハリを外されるっていうのは、本当フラストレーションがたまるよ。実際、ジャンプしてラインに抵抗が掛かったり、首を振られたりで、フックが外れてしまうことはよくあるからね。内側をナイフエッジに研いだフックというのは、ファイトの間に穴を広げて、外れやすくしてしまうんだ」。
内側を研がずに、外側だけを研いでいるのは、そのためである。「外側だけをナイフエッジに研ぐと、ファイト中に穴を広げたりせずに刺さりをよくすることができる。私が使っているフックはすべてこの研ぎ方だね」。
このシャープニング法は多くのフックに幅広く応用できるが、中にはナイフエッジ研ぎそのものを避けたほうがよいフックもある。そこで、それぞれのフックについて簡単に説明してみよう。

Open-Gap, Straight Point Hooks
オープンギャップ・ストレートポイント

  ビルフィッシュ及びツナ用として用いられる一般的なフックで、ルアーはもとより、ライブベイトにも使用される。このタイプのフックは最初から内側がナイフエッジ状になっているので、まず、ポイントからバーブにかけての内側をやすりで丸くしてしまう。それから、その外側を特にポイントに注意しながらナイフエッジに研ぎあげる。削り落とす金属の量を少なく研ぐのがコツだ。
 

Tuna Bend
ツナ・ベンド

ツナ類のアゴの接続部に掛かるようデザインされたフック。骨などの硬い部分を貫通し、ラインの角度に応じてフックが回るようでなければならない。内側をナイフエッジに研ぐと、突き刺さる際にアゴの接続部を傷つけ、そこから外れやすくなる。そこで、内側を丸く削ったら、その外側をベンドの近くまでナイフエッジに研ぎあげる。エッジ部が長いほどよい。

 

Beak Points
ビークポイント

ビークポイント(日本で言うところのネムリバリ)の曲がった内側を、普通のストレートなヤスリを使ってナイフエッジに研ぐことはできない。外側を研ぐほうが簡単だ。ポイントの強度をそこなわないために、ポイントからバーブにかけての1/3ほどだけを軽く研ぐようにする。

 

Treble Hooks
トレブルフック

キャスティング用のルアーに多用されるフックで、1本1本の内側をナイフエッジに研ぐには相当な手間をかけなければならない。だが、外側を研ぐということになると、話は別。シャープニングにはナイフ用の砥石を使う。3本のフックのうち2本が同時に砥石面に当たるように置き、そのままフックを擦りつけて研ぐ。これを順次繰り返せば、3本のフックの外側に60度のナイフエッジができあがるというわけである。
トレブルフックの場合は2本のフックが同時に刺さることが多いので、たとえ内側を研いだとしても穴が広がる心配はあまりない。だが、1本だけが刺さっている場合には他のフックとまったく同じことが起こる。穴が広がる心配がないという点では、やはり外側を研いだほうが安心である。とはいうものの、トレブルフックの場合は、外側を研いだほうが簡単というのが最大の理由だろう。

 

Obverse Barbs
オブバース・バーブ

外側にバーブを設けたニュータイプのフックである。なんでも、古代ポリネシア人が使用していたというハリをベースにしているという話だ。このタイプのフックはもちろん最初から外側がナイフエッジになっている。

 

Barbless, Tag-and Release Hooks
バーブレスフック

バーブレスフックの場合はナイフエッジは必要ない。内側にしろ外側にしろ穴を広げるような要素はあってはならない。シャープニングには、モーターで作動するシャープナーがよいだろう。

 

No-Edge Points
ノーエッジ・ポイント

最初から内側がナイフエッジになっていないタイプのフック。口の柔らかい魚に向いている。このタイプはナイフエッジに研いではいけない。研ぐ際は必ず丸くすること。

(注1)ナイフエッジ Knife Edge
フックの研ぎ方のひとつ。断面がナイフの歯のように見える研ぎ方。両面を研ぎ、鋭いエッジを形成することで刺さりをよくする。
 
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テクニック4−By Don Mann
Setting Out a Trolling Lure Spread

トローリングルアーのスプレッドを決める

ビッグゲーム・トローリングにおけるルアーのスプレッド(注1)に関しては、人それぞれに好みがあるが、そのほとんどが「TLARメソッド」すなわち、That Looks About Right(見た目のよさ=ルアーの動きを最優先させる)メソッドの要点とは、ルアーシェイプや海の状況、ボートスピードなど、その時々のコンディションのなかで、可能な限り最高の動きをするようにルアーの位置を決定するというものだ。ここで言う「可能な限りの最高の動き」とは、それぞれルアーが美しく泡を引き、激しくルースターテール(注2)を跳ね上げることを指す。たいていの本には、ウェーキ(航跡)の第3波にルアーをセットするとか、第5波だとか書かれてあるが、そういった理論の根拠は何を隠そうこの「TLARメソッド」である。
ところで、この「TLARメソッド」に基づくルアーのスプレッドは、コンディションの変化によってどう違ってくるのだろうか。ラフっている時とナギの時では、どのようにスプレッドを変えればよいのだろうか。

  まずはラフコンディションの話をしよう。基本は、ノーマルよりも遠くにルアーをセットすることである。ラフコンディション下では、ルアーを近くにセットするほど、言い換えれば、ラインと海面との角度が広がるほど、ルアーは空を飛びやすくなる。逆に、ポジションが遠くなるほど、ラインと水面との角度は狭まり、ルアーは水をとらえやすくなる。したがって、ラフコンディションにおけるルアーの適正位置とは、空を飛ばないくらいに遠く、同時に激しく泡を引くくらいに近くという矛盾する2つの要素を満たすポジションということになる。
では、ナギの時はどうなるのか。理屈としてはまったく同じだ。ナギの時は、空を飛んでしまう心配はないわけだから、ごく近くにセットしても、ルアーはしっかり泡を引く。結局「TLARメソッド」の要は、その時の条件に合わせてルアーの動きを最優先させるということに尽きる。
さて、実際のセットポジションだが、もちろんルアーをウェーキに乗せるという基本は変わらない。アウトリガーで2本、フラットで2本流すとしたら、フラットラインを第2波または第3波、アウトリガーラインを第5波、第6波にセットするのが普通だろう。この4本の他に5本目を流す場合には、センターで引くことになるが、その際は視認できる最遠にセットすると効果的だ。またティーザーを用いる場合は、フラットラインのルアーのすぐ手前、つまり第1波もしくは第2波にセットすればよい。
なにしろ、トローリングルアーのスプレッドに関しては、ただただ実用性のみを追求するべきである。ルアーシェイプ、海況、ボートスピードの3要素を頭に入れ、それぞれのルアーが最もよい動きをする位置にセットするのである。
さらに、コックピットにいるアングラーがそれぞれのルアーをはっきりと視認できるという点も重要で、そのためにはウェーキの前面にそれぞれのルアーがセットされていることが条件になる。そしてゲームフィッシュの注意を引くに充分なルアーの動きを最優先させるのだ。クネクネと長く尾を引く泡と、時折サーフェスに現れた時に見せるルースターテール。もしもルアーがこのようなアクションをしていれば、海況やボートスピード、スプレッド内のポジションなどに対して、正しい選択をしているという証明である。
いずれにせよ、スプレッド内におけるルアーポジションという問題をあまり難しく考えてはいけない。ましてや、一部のエキスパートと呼ばれる人々にしか分からないナゾなどと考えるのはとんでもないことだ。ルアーポジションを決定するのは、その場その場の正しい状況判断以外の何物でもないのだ。すなわち、状況が変化すれば、ルアーポジションを変えるというのが基本なのである。
 
  ただし、ボートスピードや海況の変化に対して、ルアーポジションを変えずに対応するテクニックもある。それはアウトリガーのリリースクリップを上下して、ラインと海面との角度を調節し、ルアーポジションを変えた時と同じ効果を得るというものだ。海が荒れたり、ボートスピードを上げたりしてルアーが飛んでしまう時は、アウトリガークリップを低くしてラインの角度を狭める。フラットラインの場合は、フラットラインをタグラインに接続して、より海面に近づければよい。このテクニックを使えば、ルアーポジションを遠くにした時と同じ効果が得られる。
反対に、ルアーのアクションを増したい場合は、アウトリガークリップをより高く上げて、ラインと海面との角度を広げればよい。もちろん、ルアーポジションをボート側に近づけても同様の効果がある。
 

また、状況の変化に対応するには、こんな別のテクニックもある。つまり、ルアーそのものを交換してしまうのである。アクションを増したい時は、ルアーヘッドのフェイス部分が大きい(口径が大きい)タイプか、あるいはコンケイブフェイス(フェイスがカップ状にくぼんだもの)のルアーを選び、水の抵抗を増やす。逆に、ルアーが飛んでしまうのを何とかするには、重いルアーに替えたり、あるいはヘッド部分の抵抗が少ないタイプに替えればよい。たとえスプレッド内のルアーポジションを変えなくても、ルアーそのものを替えさえすれば、たいていの状況変化には対応できるだろう。

(注1)スプレッド spread<br>
トローリングで言うスプレッドとは、ルアーの配置、展開のこと。例えば、4本のルアーを流す場合、フラットのショートを第3波、フラットのロングを第4波、アウトリガーのショートを第5波、アウトリガーのロングを第6波、というように決めるが、こういったルアーの配置を全体としてスプレッドと呼ぶ。状況に応じたスプレッドの決定は、ルアーシェイプとともにトローリングの重要なカギである。

(注2)ルースターテール roostertail<br>
ルアーヘッドのフェイス部分が生み出す水飛沫。飛沫の形状が雄鳥の尾(ルースターテール)に似ているところから、この名がついた。バブルトレイル(泡の尾)と並び、トローリングルアーの重要なアクションのひとつである。

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テクニック5−By Jim Rizzuto
Getting Hooked. Staying Hooked.

フックアップ率を高めるリギング&メソッド

たとえビルフィッシュが姿を現わし、ルアーを叩いても、必ずしもフックアップするとは限らない。それどころか、ガッチリとフックアップすることなどは本当に珍しいと言えるだろう。たいていの場合、それはただのストライクに終わってしまう。
毎年ハワイ島で行なわれるH.I.B.Tでは、フックアップに至らないストライクは全ストライク数の60〜80%を占めるという統計が出ている。実に6〜8割のストライクが従労に終わるとは驚くべきではなかろうか。
そこで、ハワイのビッグゲームトローラーたちはフックアップの確率を少しでも高めようと、ルアーのリギングにかなり斬新な工夫を凝らしている(写真参照)。この工夫はマーリン用のルアーだけでなく、スカーテッドタイプ(スカート付きのルアー)ならどんなルアーにも有効で、実際、ハワイではイエローフィンツナやマヒマヒをはじめ、ワフー、スピアフィッシュ、ジャックなど、多くのゲームフィッシュに効果を上げている。
このリギングを試してみて、フックアップ率を高めることができれば、後はラインブレイクだけを心配すればよい。
ここに紹介したリグは、コナの「ビルコレクター」のスキッパー、ロブ・パーディーが1990年のHIBTで608.5Lbのビッゲストマーリンをキャッチした際に使用していたのと同じものだ。ルアーも写真と同じ「ジョー・イー・スーパープランガー」であった。
現在の主流となっているタンデムフックと異なり、ここではシングルフックが用いられている。リーダーには連結したプラスティック製ののビーズが通り、しっかりとフックを固定している。このようにリーダーをビーズで固定することによって、フックがルアーヘッドの後ろに真っ直ぐ位置し、フックアップ性能が向上するというわけである。もちろん、ビーズには光を反射するという効果もある。ビーズを用いたスティフリグ(フックを固定したリグ)の特長は、リーダーをグニャグニャと曲げることなく、常にフックをストライクポジションにキープできるという点にある。言い換えれば、ルアーがいかに派手にアクションしようとも、フックが跳ねてリーダーに絡んだりすることがないのである。しかし、もっと重要なのは、フックが常にルアーの後方に位置することによって、魚の口の外側にフッキングする確率が高くなることだ。
これと同様のリグを使用しているコナのキャプテン、ジョン・クーンによれば、硬い口の内側よりも口の外側、頬の部分にフッキングしたほうがベターだという。もしもマーリンがルアーの横からアタックして、ルアーヘッドやスカートをくわえたとすると、フックはちょうど頬の部分に引っ掛かることになるわけだ。さらに、この時もしもフックが頬に刺さらなくても、口の中を通り抜けたフックが反対側にフッキングするチャンスもある。また、フックアップ率を高めるためには、アウトリガーでリリースクリップを用いてトローリングしたほうがよい。リリースクリップはわずかな抵抗で外れるようにし、リールのドラッグもかなり軽めに設定する。先ほどのロブ・パーディーは、ラインリリースとして、ラバーバンドではなく、AFTCOの「ローラートローラー」を使用しているが、やはりマーリンがルアーの匂いを嗅ぎに来ただけで外れるくらいリリースを軽めにしているという。ラバーバンドが切れるには、相当な力が必要なので、このメソッドには使えないのである。また、かつての名艇「ブラックバート」のキャプテン、バート・ミラーによれば、軽めのラインリリースによってラインが外れると、マーリンは逃げるように遠ざかるルアーを追いかけ、ストライクするという。ボートの進行方向と反対に走るマーリンがよりフックアップしやすいのは明らかである。
フックアップ率を高める上でもうひとつ重要なのは、そのルアーのライディング姿勢に対してフックを上向きにセットすることである。特にフェイス部分が傾斜しているタイプのルアーでは、ちょうどボートでいうバウ部分のように必ず傾斜面を下にしてライドする。もしもマーリンがこのタイプのルアーを後方から真っ直ぐストライクしたとすると、フックを上向きにセットしていれば、上アゴ前方の内側にあるV字部(頬、アゴの連結部と同様に理想的なフッキングスポット)にフックアップするのである。

フックアップ率を高めるビーズリグのリギング法


まず、フックにモノフィラのリーダーを接続する。コナでは400Lbから600Lbテストまでのモノフィラメントが好まれる。接続はスリーブのクリンピングで行なう。チェイフィングギア(ループプロテクター)は好みで用いる。
 
テーピングもしくはチュービング(プラスティック製のチューブを熱で縮める方法)でフックとリーダーを固定する。次にビーズを用意して、スカートの先端部にフックのベンド部が来るまでビーズを通す。コナでは写真の「トライビーズ」を多用するが、穴が小さく、ヘビーリーダーには使えない。太いリーダーを使う場合には、ドリルで穴を広げる必要がある。
ビーズを通したら、それぞれ動かないようにタイトに固定し、スリーブをクリンプする。スリーブの前部にはテープを巻くか、チュービングを行なう。ルアーヘッドとフックがひとつのユニットとなるよう固定するには、ルアーヘッドのリーダーチューブ(リーダーを通すための穴)の内径に合ったスリーブとチューブが必要。ユルユルではなく、しっかりと固定できるくらいにぴったりなサイズがいい。
     

ルアーヘッドをリーダーに通し、クリンプしたスリーブを入れて固定する。スリーブを入れても固定できず、簡単に抜けてしまうようなら、後ろから爪楊枝ををペギングするとよい。ただし、フックアップ後はただちにルアーが自由に動くようでなければならない。フックアップした後もルアーが固定されたままだと、ジャンプやヘッドシェイクによってフックが外されてしまう。
 
ルアーのライディング姿勢に対して、フックは必ず上向きにセットする。フックポイントをスカート先端部付近に来るようにする。
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テクニック6−By Don Mann
Setting the Drag on Lever-Drag Reel

ドラッグを設定する

  腕の立つアングラーたちは皆それぞれに独自のテクニックを持っているものだが、唯一ドラッグセッティングに関してだけは異口同音に口をそろえる。ドラッグのプリセットは必ずボートを出す前に行なうべきだ、と。たしかに、勘だけに頼ったドラッグ設定というのは、まったく当てにならないものだ。
セットしたドラッグが正確に何ポンド(もしくは何キロ)なのかを知るには、やはりハンドスケールが必要である。すなわち、伝統的な例の方法で計るわけだ。ラインの先端にハンドスケールを接続して1人が引っ張り、もう1人がリールのドラッグを調節するのである。だが、これだけでははたして充分といえるだろうか。
 
例えば、ドラッグの設定は、まずドラッグワッシャーを暖めてから行なうということを御存じだろうか。この方法は各地のトーナメント・アングラー達によって当然のごとく実践されている。ワッシャーを充分に暖め、乾いた状態(熱で膨張した状態)にした上でドラッグを設定しないと、後で設定値が狂ってくるのである。これを解決するためには、ラインを繰り返し強く引っ張り、ワッシャーを摩擦で暖めるとよい。具体的には、ドラッグを適度な強さに調節した上で1人がライン先端のスナップスイベルを持ち、ゲームフィッシュのファーストランを真似て強く引っ張るのである。
とはいえ、リールによってはこのヒートアップを行なう必要がない場合もある。例えば、ワッシャーの熱膨張を抑えるために、ペンリールのワッシャーには新素材が用いられているし、シマノのティアグラにも同様の工夫が見られる。

もしも港で、誰かがラインの端を持って前後に激しく腕を振り、コックピットのもう1人が懸命にリールのハンドルを回していたら、それは間違いなくドラッグ設定前のヒートアップを行なっているのである。充分にドラッグを暖めたら、次こそハンドスケールを用いてドラッグを設定する。その時はくれぐれもロッドをファイティングの角度に保つことを忘れずに。
理想的なドラッグ値は、使用するラインテストの25〜30%。それをドラッグレバーのストライクドラッグ・ポジションに合わせるわけである。ストライクドラッグを設定したら、今度はドラッグレバーを一番前に倒した状態(最強の状態)を計っておくとよい。ファイトの最終段階で、強いドラッグ値が必要な時など、マキシマムでどの位の強さがあるのかを知っておくことは重要だ。
たとえどんなに経験を積んだアングラーであっても、ハンドスケールほど正確に計ることはできない。勘はあくまでも勘でしかないのだ。トロフィーサイズのマーリンがジャンプする時に、そんな勘が当てになるだろうか。ドラッグ設定には絶対スケールを用いるべきなのだ。

 
 
もうひとつ、ドラッグ値は1日に何度もチェックすることを忘れてはならない。朝1回セットしただけで長い1日を通すのはあまりにも危険だ。気温の上昇は、魚のファーストランと同様にドラッグワッシャーを膨張させる。もちろん、1尾キャッチした後にも計り直したい。ドラッグを計り直すことなど、ほんの数分で終わる作業なのだから、手間を惜しむべきではないだろう。
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