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BIG GAME創刊
   
   

雑誌を創るということ

7月10日、雑誌「BIG GAME」が船出した。
9・11のように世界を震撼させる訳でもなく、多くの人々の弥栄(いやさか)がある訳でもなく、ストイックに且つ、ハードボイルドに荒海に乗り出したわけである。もしやもしやと、港のそこかしこに涙ぐむ美女の姿を追ったものの、そこには、いきつけの安い飲み屋の馴染みの女の顔があるだけで、僅かばかりの無責任な激励やら冷やかし、嬌声を後に船出したわけである。
「きのう、二日酔いで朦朧としていた男が今朝、マリーナを出た。どこへ? 南の島へ」。そんな話が好きであるから、波乱万丈の人生を、さり気なく生きることを演じる上でも、今回の船出は私たちには相応しいものであった。

雑誌を始めるときには、いつも思い出す苦い失敗がある。
1983年、私が小さな編集・制作会社を始めたときに「ええい、ままよっ!」と『ビーチコマー』なる雑誌を創ったことがあった。“海とロマンの情報誌”などと銘打ち、一気に3万部を刷ってしまったのである。当時は今以上に能天気な性格で、問屋(取次ぎ)に納めれば、すぐにこれくらいは捌けるだろうと信じて疑わなかったのである。なけなしの軍資金を一気にぶち込み、東販の窓口に意気揚々と見本誌を持って出かけた自分が情けない…。

 

担当窓口のS氏とのやり取りは今も鮮明に蘇る。「…で、雑誌のコードは?」「コード…!?」「ええ、雑誌コードですよ」「講堂?、公道?、コード…?」、そんな頓珍漢なやり取りの直後に、冷や水を浴びせられる現実に直面したのである。「雑誌コードがないと取次ぎの流通には乗せられませんよ。そんなこともご存じなく雑誌を創られたのですか?」「では、どうして書店に並べまひょ!?」「直でおいてもらうしかないでしょうネエ。大変ですけど…」。
その大変さを理解するでもなく、釈然としない取次ぎ制度に憤慨しながらも妙な高揚感を覚えたことが記憶に新しい。新御茶ノ水にあった事務所マンションに戻り、廊下に延々と続く山並みのように積み上げられた在庫を前にして、やっと我に返り、「どないしょう? えらいこっちゃ!」と思ったものの後の祭りの初夏であった。「ええい! ならば、ひと夏で直に納めたろうやないか!」と、わずか一人の従業員と共にバックパックを担いで書店回りを開始したものの、これが大変な仕事。納品伝票やら清算伝票、それらの控えを確認しつつ請求書を起こし、今度は在庫の回収をしなければならない。毎日「いやあ、今日は書泉グランデに20部入れてもろたで、あの店の子はホンマ、可愛いなあ。それにくらべたらS堂は3冊だけやで…」「3冊だけでもええやないか、昨日は15軒まわってゼロやさかいな…、それと秋葉原の本屋から追加オーダーが入っとったで!」「おお、何冊や!?」「いや、1冊だけやけどナ…」などと他愛もない報告を2人で延々と重ねながら夏の2ヶ月で、何とか納品までに漕ぎ着けた数が3万冊のうちの僅か1500冊余り…。マンションの管理人からは、「須賀さん、早くこの荷物なんとかしてくださいよ! インキ臭いし、消防法からも問題あるんですからね! 早く倉庫に入れるとか…」。いやあ、弱った。いつまでもバックパック作戦を続けても活路は見出せそうに無く、「この際、思い切って見切りを付けるか!」と処分を決定するも、洋紙の雑誌なんぞは古紙としての回収も嫌がられ、なんとか持っていってもらったものの、それの対価がポケットティシューをダンボール3箱分とは情けない。
これまでに関わってきたさまざまな出版物の制作当時の想い出は、苦くもあれば楽しくもあるが、スポーツフィッシング誌に関わるうえでの思いは今も昔も変わらない。

 
 
エッセイ/ビッグクルー
   
BIG BLUE(1) はじめに、あれやこれや…
BIG BLUE(2) カジキ、その種の行方は?
BIG BLUE(3) 釣りを正当化するもの…
BIG BLUE(4) “最初の経験”に何を学ぶか…!?
BIG BLUE(5) ビルフィッシュを巡る縁
BIG BLUE(6) こんな時代に誰がした…!?
BIG BLUE(7) 巨魚を釣る資格ある者
BIG BLUE(8) 記録から検証できるもの…!?
BIG BLUE(9) ビッグゲーム、ビッグボーイ。
BIG BLUE(10) 娘たちが父に贈った一冊の本
BIG BLUE(11) 与那国の海にカジキを追う!
BIG BLUE(12) 世界有数の規模と、完成度の高いビッグゲーム・トーナメント(JIBT)が、なぜ斯くも国際的には無名なのか?
BIG BLUE(13) カジキはカジキ、マグロはマグロ
BIG BLUE(14) リリースしたカジキはマカジキ、されど 再捕されたカジキはクロカジキ!?
BIG BLUE(15) “クオリティー オブ フィッシング”その発想を育てるための、さまざまな自己規制
BIG BLUE(16) “バラシ”の体験に何を学ぶか?
BIG BLUE(17) '06 TRY AGAIN!!
BIG BLUE(18) 『BIG GAME』創刊
   
 
 
 
 
 
 
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