もう、“かじきまぐろ”なんて呼ばせない
もう、うんざりである。テレビをつければ似非文化人風の料理タレントが“カジキマグロ”の『ペッパーステーキ』やらを嬉々として作っている。それはそれでよいのだが、会話の中でやたらと“カジキマグロ”と出てくるのが耳障りである。れっきとした氏素性がありながら、いい加減な呼称で火に炙られている“メカジキ”の切り身がなにやら哀れである。ニュース番組でも、新聞でも雑誌でも、まれに“カジキ類”の写真が紹介され、チョイと気をつけて見てみると、ご丁寧にもその多くが“カジキマグロ”と呼ばれている。さすがに“まぐろ”を“かじきまぐろ”とは呼ばないが“カジキ類”はその多くが“マグロもどき”の扱いである。由緒ある“かじき”の扱いがないがしろにされているようで、悲しい。 分類学上、カジキは硬骨魚網…スズキ目…サバ亜目と続き、ここからカジキ上科はメカジキ科とマカジキ科に分類される。メカジキ科はメカジキ属のメカジキ1種。マカジキ科はバショウカジキ属(バショウカジキ、ニシバショウカジキの2種)、フウライカジキ属(フウライカジキ、チチュウカイフウライ、クチナガフウライ、ニシマカジキ、マカジキの5種)、クロカジキ属(クロカジキ、ニシクロカジキ、シロカジキの3種)の2科4属11種に分類されてきた(※しかし、最近の分子遺伝学的検査によるDNA分析結果ではクロカジキ《太平洋》とニシクロカジキ《大西洋》を同種とする声が大きくなっている)。 一方、マグロは、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、コシナガ、ビンナガ、タイセイヨウマグロの7種に分類されている。