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南の島、タヒチが黄金色の光に包まれる夕刻。映画『南大平洋』で神秘的な魅惑の島『バリハイ』として描かれたモーレア島が、ブロンズ色のシルエットとなって港の沖合に浮かび上がる。この島を訪れた者は、原色に輝く感性の叫びを心に刻んで島を後にする。
「昔、この島にやって来たのは、この釣りのためなのだ…」
そんな想いを胸に、再びこの島を訪ねたいと思う。洋上の、大魚とのファイトが決して心から色褪せないように、島の記憶はいつも心に新しい。 |
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1979年3月5日。アルバン・エラコットによって仕留められた1243ポンドのパシフィック・ブルー |
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グレイがタヒチ沖で記録した巨大魚こそ、男たちの夢と幻の始まりでもある…。
その夢に惹かれ、洋上での風を心地良く感じながらタヒチに住まう幸せな男がいる…。何番目かの妻である島の娘と暮らすエピキュリアン、アルバン・エラコットがその人である。
タヒチで由緒あるフィッシング・クラブ『ハウラ・クラブ』の会長にしてタヒチアン・インターナショナル・ビルフィッシュ・トーナメントの立役者、エラコットの人生を、私は少しばかり羨ましく思う。 |
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ゴーギャンの死の15年前、95フィートの優雅なスクーナーでパペーテに入港したロバート・ルイス・スティヴンスンの《サウス・シーズ紀行》は、その恵まれた状況において、ゼーン・グレイのそれと大いに共通するものがある。『キャスコ号』でサンフランシスコを出帆した彼の船旅は、1891年、サモアに居を構えるまで、ホノルルとオーストラリア間の大平洋諸島を巡る5000マイルにも及ぶものとなった。この旅は遥か後年のグレイの釣行と不思議と航跡が重なる。 |
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私は、このチァールの似合う島の女のことを、実は今でも夢に見ることがある。糠味噌くさい女房には内緒で、こっそりと見る夢は、タヒチの、パペーテの夜の、かぐわしき香りを今も甦らせてくれる。
『タヒチ・ビーチコマー・パークロイヤル』は、モーレア島を正面に眺める絶好のロケーションにある。水上バンガローからルームサービスをオーダーすれば、カヌーに満載した原色のトロピカル・フラワーと共に私たちのバンガローを訪ねてくれる。バンガローのテラスで、紺碧のラグ−ンを静かに滑るようにやって来る褐色の肌の女神たちを待つ時間は、まさにこの世のものとは思えないほどの魅力である。
傲慢なくらいの青さの中、太陽が照りつけ、心地良い貿易風がタヒチのかぐわしき香りを運んでくる。 |
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